グラナート・テスタメント
第7話「神の力と栄光」




強くなるにはどうすればいいのか?
何をすればいいのか?
何を鍛えればいいのか?
答えは一つではなく複数存在する。
一つは、腕力、体力といった純粋な『力』を鍛える方法。
一つは、より効率よく、より的確に他者を倒すための『技術』を磨く方法。
一つは、余計な『感情』、甘さや迷いを消し去り、自らを完璧な兵器にする方法。
体、技、心、全てを鍛え上げるのが理想だが、どれか一つでも鍛え上げらればいいところだろう。


あたしは肉体だけを極限まで鍛え上げた馬鹿を知っている。
人を殺す術(技術)だけを究極にまで磨き上げた男を知っている。
生まれつき、弱い心を、余計な感情を一切持たない男を……憎んでいる。





「哀しき死者の国の女神の冷徹なる氷の眼差しにより……全ての運動は今凍結する……フロストダイバー!」
凍結の呪文。
相手を氷塊の中に閉じこめると、続けざまに次ぎの呪文の詠唱を行う。
「雷神よ、汝の裁きの雷を我に貸し与えたまえ……揺らぐことのない光の正義を示すために……サンダーボルト!」
上空に雨雲、より正確に言うなら雷雲、雷の塊を生み出し、そこから落雷を落とす呪文だ。
氷塊に雷が四度連続で落ち、氷塊は跡形もなく砕け散る。
「……ちっ、やっぱり一度じゃ殺りきれないわね……」
ティファレクトは呪文の発動と同時に、後方に跳んでいた。
着地と同時に踵を返し走り出すと、そのまま走りながら再びフロストダイバーの呪文を唱え始める。
落雷と共に四散していた砂粒が集まり、人の姿を形成した。
サンドマン。
砂男の名が示すとおり、砂の塊のモンスターである。
その正体を正確に知る者はいない。
時と共に、砂粒に意志が生まれたのか? 何かの霊が砂に宿ったのか? それとも砂によく似た小さな生命体の塊なのか?
どれが正解なのかティファレクトは知らなかった。
解っているのは、サンドマンは強い、しぶといということだけである。
「……フロストダイバー!」
ティファレクトの掌から凍気が放たれるのと、サンドマンの一撃がティファレクトを貫くのはまったくの同時だった。
「……くぅ、赤芋虫に比べれば……たいしたこと……ないわね……」
拳と化した砂が脇腹を貫いただけ……この程度なら後四発ぐらいは耐えられる。
ティファレクトは口から血を吐き捨てると、サンダーボルトの呪文を詠唱した。
「バイバイ、サンドマン」
ティファレクトがサンドマンを指さすと、次の瞬間、四条の雷が飛来し、氷塊を跡形もなく粉砕する。
先程と違い、今度はサンドマンが再生することはなかった。
「……いまいち割に合わないわね。砂に足を取られて、動きが止まることも多いし……」
サンドマンの強さ以上に、この場所の動きづらさが問題である。
凍結からの落雷で一度で倒せない以上、同じ動作を二度繰り返さなければならないのだ。
そのためには一度目の落雷の後、逃げながら再度凍結の呪文を唱える必要がある。
その際に、逃げるのが上手くいかなかった。
痛みを受けるのは嫌いじゃないから、攻撃されること自体は別にいい。
だが、攻撃を受けた瞬間、呪文が途切れてしまうのだけはなんとかしなければいけなかった。
そのため、不本意ながら逃げながら戦うというスタイルをとらざる得ないのである。
「地道にミミズでも焼いていた方がいいかもしれないわね……」
ティファレクトは移動を開始した。
なぜか、サンドマンの出る場所は限られている。
同じ砂漠でもなぜか、サンドマンは決して現れることのない場所が存在していた。
「ミミズを丸焼きにすると結構香ばしい臭いがして、食欲が沸いちゃうのよね……」
でも、流石に食べる気はしない。
とことんまで飢えたら最終手段として試してみようかな?
そんなことを考えながら、ティファレクトは砂漠を歩いていった。




ミーティアは本の山に埋もれていた。
今ここにある本は全て、『この世界』では手に入らない本ばかりである。
「ふぇ〜……」
宙には巨大な水晶球が浮いていた。
その水晶球の中に次々に本が吸い込まれていく。
「この世界の勉強ならともかく、いまさらこんな本ばかり読んでどうしますの?」
いつのまにかビナーが部屋の中に入ってきていた。
「……敵を知り、己を知れば百戦危うからずだとミーティアは思うの」
「……確かに己を知りって内容の本ばかり……敵? 敵って……そういうことですの!?」
「今、ビナーが思った通りだよ」
ミーティアは全ての本を水晶球にしまい終えると、水晶球の上に飛び乗る。
「……敵……まあ、確かに、ティファレクトやマルクトにとっては『仇』なのは間違いないとは思いますけど……あたくし達は別に……」
「ビナーは好きにすればいいよ。『彼』の方につきたければつけばいい……でも、その場合はビナーはティファやマルクトの敵、ミーティアは二人の味方だから、ミーティアとビナーも敵同士になると思うの」
「…………回りくどい言い方をしないで欲しいですわね。まあ、何にしろ、それはそれで面白いかもしれないですわね」
ビナーは微笑を浮かべると、水晶球に右手を重ねた。
次の瞬間、水晶玉の中から一冊の本が飛び出てくる。
「とりあえず、現状を整理いたしません?」
そう言うと、ビナーはソファーに腰を下ろし、本を広げた。


「総帥とあなたの下に、あたくし達十人の幹部……基本的にそれだけと言っていい単純な組織でしたわね」
ビナーは本のページを指差しながら語る。
「まあ、雑魚ならいくらでもいたけどね……お兄様直属の千面衆なんてのもいたけど……これはとりあえず論外だよね」
「ええ、雑魚は所詮雑魚ですわ。何百集まっても、あたくし達一人分の価値もありませんもの……で、問題は……」
「うん、残りの『ファントム十大天使』だよ」
ミーティアは、ビナーの指さすページを見つめた。
ビナー達の名前は全て、ファーストネーム、セカンドネームも組織に入ってから与えられた名前である。
その名こそが、彼女達の身分、力、存在そのものを意味していた。
ファーストネームはそれぞれの持つ神性(セフィラー)、存在そのものを意味し、セカンドネームはそれぞれの持つ『天使核(てんしかく)』、所有する力と能力を意味しているのである。
例を上げるなら、ビナーは『理解』、ケセドは『慈悲』、ティファレクトは『美』を意味する言葉だ。
「女性六人のうち五人がここに……残り男性四人のうち三人はあの時亡くなったはずですわ……けれど……」
「そう、ここに居ないあの女が問題なんだよ……」
ページに書かれた十人の名前の下から二番目。
イェソド・ジブリール。
ファントム十大天使第九位、『基盤』を意味する者。
「あの女が余計なことをした可能性が高い……とミーティアは思うの」
「……否定できませんわね……人の嫌がることするの大好きな方でしたから……」
「うん、それにあの女は過程が楽しめればそれでいいって考えしてるから……」
ミーティアとビナーは顔を見合わせると、深くため息を吐いた。



「おらおらおらおらおらおらっ!」
ゲフェンの森の奥深く、通称「オーク村」と呼ばれる場所で一人の大男が暴れていた。
二本の斧を力任せに振り回し、次々にオークウォーリアー (オークの戦士)達を斬り殺していく。
斬りつける場所など何も考えていない。
相手の斧だろうが、兜だろうが、盾だろうが、粘土か何かのように、大男の振り回す斧が粉々に粉砕していくのだ。
相手の、オークの体ごと……。
一方的な虐殺だった。
なぜなら、オーク達の攻撃はこの赤毛に赤い瞳の大男に対してまったくの無力。
オーク達の叩きつけた斧は、信じられないことに、大男の異常に発達した筋肉に弾き返され、傷一つ大男に付けることが敵わないのである。
「……どっちがモンスター(怪物)だか……」
大男の連れの男が呆れたように呟いた。
大男とは対照的な細身な男。
全身黒ずくめで、顔上半分を隠すような仮面を付けているのが特徴的である。
「がははははははははっ!…………あん?」
大男が振り回していた斧が二つとも砕けた。
「……当然だ」
ここに来る直前に買ってきたばかりの新品の斧だったが、あんな無茶で乱暴な使い方をしていれば限界はすぐにやってくる。
チャンスとばかりに、オーク達は一斉に大男に反撃を開始しようとした。
しかし……。
「おらぁぁっ!」

ドカカアアッ!

オークが一体、空に舞い上がった。
大男がオークを『素手』で殴り飛ばしたのである。
「どらどらどらあぁっ!」
次々にオーク達が空に舞った。
「……素手の方が強いんじゃないか?」
斧と違って『壊れない』分、素手の方がこの男には相応しい気がする。
「……ゲブラー、いつまで遊んでいる? そろそろ……」
「うらうらうらあっ!」
「……聞こえていないか……」
「けっ! いい加減うぜぇな! まとめて吹き飛ばすか?」
ゲブラーと呼ばれた大男は、右腕と腰を後方に引き絞った。
ゲブラーの右拳が赤く輝く。
「マァァグナァァムブレェェイク!!!」
ゲブラーを取り囲んでいた全てのオークが、炎の大爆発と共にまとめて吹き飛んだ。
マグナムブレイク。
本来は剣を使って行う技である。
どういう原理かよく解らないが、ただ単に闘気を発するバッシュと違って、闘気に炎の属性を持たせて、剣のヒットの瞬間、爆薬のような大爆発を起こす技だ。
「……非常識が……」
拳でマグナムブレイクするだけでも非常識だが、そもそも斧の二刀流の『剣士』など聞いたこともない。
二刀流という技術は、本来剣士ではなく暗殺者の得意とする技術だ。
『あん? 武器が何だろうが同じことすればいいだけだろう?』
『腕は二つあるんだから、武器を二つ持つなんて誰でもできることだろうが?』
前者が素手でバッシュを使えるようになった時、後者が斧の二刀流を開眼した時のゲブラーのセリフである。
そもそも斧を使っている理由も、剣や槍では脆すぎて、軽すぎて歯応えがないというのが理由だ。
「おおっ! やっと親玉がでてきたぜっ!」
オークを全て蹴散らし、見晴らしがよくなった直後、ゲブラーがオークヒーロー(オークの勇者)を見つける。
「……ゲブラー、あんなのに構っている時間は……ちっ!」
当然、ゲブラーは仮面の男の話など聞かずに、オークヒーローの取り巻きであるハイオークに殴りかかっていった。
「……仕方ない」
こうなったら、ゲブラーを止めるより、自分も手伝った方が早く片が付くだろう。
「……隠行」
仮面の男が呟くと、仮面の男の姿が掻き消えた。
「……暗殺」
仮面の男が消えた一秒後、唐突にハイオーク一体の首が宙に舞う。
「てめえ、ホドっ! 余計なことするんじゃねえ!」
ゲブラーが何もない空間に向かって怒鳴った。
「……いいからさっさと終わらせろ……親玉には手は出さない」
何もない空間から、ホドと呼ばれた仮面の男の声が答える。
「ちっ!」
ゲブラーは舌打ちすると、再びハイオークを殴りつけた。
「……八連殺」
ホドの声が響くと同時に、ハイオークの体に八つの穴が空く。
「けっ! 手を抜きやがって、こっちに来てから覚えたお遊びの技ばかりじゃねえか」
『隠行』は姿を消す盗賊の技ハイティング。
『暗殺』は姿を消したまま攻撃する暗殺者の技グリムトゥース。
『八蓮殺』は一瞬で八連打を叩き込む暗殺者の技ソニックブロー。
この国に来てからの数日間でホドがマスターしたこの国の技術である。
本来は、カタールと呼ばれる武器を使用するものなのだが、手刀が刃の鋭さを持つホドは素手で行っていた。
「よっしゃっ! やっと雑魚が片づいたぜ! うおおおおっ!」
ゲブラーは闘気を右腕に集中すると、オークヒーローに殴りかかる。

パシッ!

「あああっ!?」
ゲブラーは自分の目を疑った。
オークヒーローと自分の間に小さな影が飛び出し、拳を受け止めたのである。
「いつまで待たせるのよ、この筋肉馬鹿」
影の正体は小さな女の子だった。
フリルの大量についた黒い洋服、ウェーブのかかった長い黒髪、黒曜石の瞳、洋服の隙間から僅かに覗く不健康なまでに白い肌以外、全てが黒で統一されている。
「待ち合わせを守ることもできないのか、この馬鹿」
「がああっ?」
女の子の小さな手がゲブラーの巨大な拳をギリギリと握り潰してていた。
「そこの根暗馬鹿、あんたもこの筋肉馬鹿をちゃんと止めなさいよ、ホント馬鹿ばっかね」
女の子は、今だ姿を消したままのホドの位置を正確に見破り、罵倒する。
「……で、そこの馬鹿オーク、せっかく助けてやったんだから、さっさと失せなさいよね」
女の子の罵倒の標的は今度は、なぜか硬直しているオークヒーローに向けられた。
「おい、ガキ、お前馬鹿か? モンスターに言葉が通じわけ……」
「うるさい、黙ってろ、筋肉馬鹿っ!」
女の子はゲブラーを一喝した後、鋭い眼差しをオークヒーローに向ける。
すると、なぜかオークヒーローは反転し、去っていった。
「……通じやがった?」
信じられないといった表情でゲブラーが呟く。
「あんたよりは話が解るのよ。脳味噌全部筋肉でできてそうなあんたよりはね」
「……なんて口の悪いガキだ……があああああっ!?」
女の子はゲブラーの拳を握りる力を強めた。
「たく、あんた達がさっさと来ないから、このアタシがわざわざ迎えに来るはめになったじゃないのよ、この馬鹿コンビ!」
「……てめえ……このクソガキ……」
「何よ? 拳じゃなくて、頭でも握り潰されたいのかしら?」
拳を握り潰そうとする力がさらに強まる。
ゲブラーが捕まれていない方の左腕を振りかぶった。
「……よせ、ゲブラー」
ゲブラーの背後からホドの声が生まれる。
いつのまにか、ホドの手刀がゲブラーの首筋に当てられていた。
「……ホド……てめえ、いつからこのガキの味方になりやがった!?」
「……私は貴様の方は守ったつもりだ」
「なんだと!?」
「はいはい、もういい加減にしてよね、馬鹿コンビ」
女の子は心底呆れたような表情で嘆息を吐く。
「根暗が止めてくれなかったら、あんたはアタシに殺されてたのよ。そんなことも解らないの、筋肉は?」
「筋肉筋肉呼ぶんじゃねえ! 俺様にはゲブラー・カマエルって名前があるんだよ!」
「あっそう。で、根暗の方の名前は?」
「……ホド・ニルカーラ・ラファエル」
「へぇ、ホド(栄光)にニル(虚無)にカーラ(漆黒)ね……良い名前ね。それに比べて、筋肉は名前負けよね、ゲブラー(神の力)なんて……」
女の子はフフフッと妖艶に笑った。
「余計なお世話だ!」
「アタシはエリザベートよ。気軽にエリザベート様って呼んでいいわよ」
「…………」
「……ちっ、もう突っ込む気も起きねえよ……エリザベート『様』……」
ホドは無言、ゲブラーは皮肉を込めて『様』を強調する。
「じゃあ、自己紹介が終わった所で、さっさと行くわよ。アタシについてきなさい、筋肉馬鹿と根暗馬鹿」
「……名前呼ぶ気がねえなら、自己紹介した意味ねえじゃねえか……」
「……私はそんなに根暗に見えるものなのか?」
「はいはい、無駄口叩いてないで、さっさと歩きなさいよ、馬鹿。カーディナル達が待ちくたびれてるわよ」
エリザベートは言いたいことだけ言うと、踵を返しどんどん歩いていく。
不満だらけだったが、ゲブラーとホドもその後を追うしかなかった。








次回予告(ビナー&ミーティア)
「なんか今、とても虚しい気分ですわ……」
「どうしたの、ビナー?」
「2002年の終わりと2003の始まりの境が、この話を書いている間に過ぎてしまいましたわ……」
「まあ、年内にこの話と次の話を一気に書き上げる予定だったからね……それなのに、なんか凄く時間かかっちゃしね……しょうがないよ」
「2002年がグラテスで終わり、2003がグラテスで始まり……」
「2003年もグラテスで終わったら傑作だね。まあ、2003年の終わりにはグラテスどころかこのHPもなくなってるとミーティアは思うの」
「……じゃあ、そろそろ本編についての言い訳を開始しません?」
「まあ、前回のラストから逸脱開始して、こんな具合になっちゃったということで……」
「……言い訳のしようがないということですわね……」
「うん、後ついに、主役の扱いが……てなっちゃったんだよ」
「……これからカノサバなみに主人公の出番がなくなりますの?」
「可能性なきにしろあらずだよ。ゲブラーとホドはともかく、エリザベートは新しく生まれたキャラなんだよ……話を広げないつもりだったら彼女達は登場することもなかったんだよね」
「『日常』描くだけなら、あたくし達だけで充分ですものね。『敵』など必要ありませんわ」
「でも、『物語』にするなら敵は必要なわけで、そんなわけで生まれたのがエリザート様なんだよ」
「なんで様付けなんですの?」
「呼び捨てにしたら、怒って出てきて、次回予告も乗っ取られかねないからだよ」
「……まあ、ティファレクトと同じスタンダートな女言葉だけど、あそこまで口と性格の悪さに特徴あれば……かぶらないですわよね?」
「うん、ティファはあんな性格悪くないよ。と、次回予告の本来の目的である言い訳しなきゃいけないことがあったよ」
「なんですの?」
「剣士や暗殺者って作ったことないんだよ、ラグナで。だから、資料や他人が使っているのを見て参考にして書いたから、いろいろと間違ってるかもしれないんだよ、スキルとか……だから、その辺のツッコミは遠慮なくしてね」
「というか、魔術師しか作ったことないですわ」
「魔術師(マジ→ウィズ)は役立たずになるの覚悟で、SSの参考のために全魔法覚えさせたんだよ」
「他の職業もそうやって実体験してから書こうなんてすると……数ヶ月ストップすることになりますものね……仕方のないことですわ、これは」
「数ヶ月で済めばまだいいよ……」
「では、今回はこの辺でお別れですわ……ごきげんよう」
「またね〜♪」


追伸
「マグナムブレイクに本来あんなに破壊力ありませんわ。それに、オークはまだしも、ハイオークは確か火は通じなかったような気も致しますわ」
「細かいこと気にしちゃだめだよ、ビナー。馬鹿(ゲブラー)は常識を凌駕するんだよ!  馬鹿に常識は通じないんだよ!」
「馬鹿って凄いですわね……」


戻る 第8話へ 
グラナート・テスタメント7