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ソルジャーうぐぅ『第1話うぐぅ大地に立つ!』



世界の平和を守るため、日夜戦い続けるヒロイン、ソルジャーうぐぅ。
人々は平和な暮らしの影に彼女の活躍があること知らない。




「うわ〜、今日も寒いね〜、あゆちゃん」
「ねえ、名雪さん、急がなくて大丈夫かな?」
「今日はまだ大丈夫だよぉ〜」
「良かった」
ボクの隣で話しかける女の子、彼女はボクの幼なじみの祐一君の従兄弟の『名雪』さん。
同じ学園に通っているため、毎朝こうやって一緒に通学しているんだ。
大抵、他愛のない会話しながら歩くんだけど、おかげで退屈することもないんだよ。
「ねえねえ、それでね、昨日のテレビ見たぁ?」
「……テレビ?」
「うん、猫さんスペシャルやってたんだよ♪」
「ふ〜ん、猫さんか……」
相変わらず名雪さんは猫が好きだね。
ボクはは昔から猫より鯛焼きの方が好きだし、。
確かその時間は、己の肉体と精神を鍛えるため、トレーニング(食い逃げ)を行っていた気がする。
「ねえ、見た?」
「いや、見てないよ」
「え〜、そうなの?」
「うん、他にやることがあったんだよ」
「そっか、じゃあ、しょうがないね」
「ごめんね」
「ううん、良かったら、今度ビデオ貸してあげるね〜♪」
どうやらちゃんと録画してあるらしい。笑顔でそういわれると断るわけにもいかないよね。
「ね、お勧めなんだよぉ〜」
「うぐぅ……」
「あゆちゃんも、たまにはテレビも見ないと駄目だよぉ」
確かにそれはあるかもね。普段は世界平和のためにしか使ってないし……。
「世界情勢には目を光らせているんだけどね……」
「へ〜、そうなんだ?」
「うん、名雪さんもニューヨークの鯛焼き屋には気を付けた方がいいよ?」
「あはは、もう、あゆちゃんたらぁ」
おっといかん、いかん。つい世界の平和のことを考えてしまったよ。
折角、名雪さんがああ言ってくれてることだし、ここは一つ頼んでおこう。
「まあ、機会があったらビデオを貸してもらうね」
「うん、いつでも良いよぉ」
「そしたら代わりに、ボクの気に入ってる本を貸してあげるよ」
「え、ホント?」
「うん」
「やったー! わぁいわぁい♪」
ボクの話を聞いて嬉しそうにはしゃぐ名雪さん。
見ての通り、無邪気でとても可愛い人なんだ。
「ちなみに本のタイトルだけど……」
「うん、なになに?」
「美味の鯛焼き100の条件っていうんだ」
「え〜? なにそれ?」
「名雪さんもこれで鯛焼き通になれるよ」
「もう〜、あゆちゃんたらぁ」
毎日こうやって、鯛焼きついて語っているんだけど、なかなか理解してくれない。
しかし、それも仕方ないこと。好物は人に違って違うのだから!
「それでね、あゆちゃん、あのね……」
「待って!」
「えっ、どうしたの、あゆちゃん?」
「……静かに」
「うにゅぅ?」
この物陰から感じる殺気。
間違いない……これは悪の気配だよ!!
「何者!? 出てきなよ!」
「ふぉふぉふぉ、よく気が付いたな」
「き、君は何者!?」
「私は世界征服を企む悪い生徒会長だ!!!」
「うぐぃいいっ! 世界征服!?」
「……ねえねえ、あゆちゃん、この人どうしたの?」
名雪さんは相手を指さす。
「だって、鍵のキャラなのに眼鏡してるよ?」
「名雪さん、気を付けて、怪しい奴だよ」
「うん、もしかしたら悪者じゃないかな?」
「うぐぁにぁいっ!?」
「ふぉふぉふぉ、そのとおり、私は悪者だ。理解したまえ」
「わぁーい! 言った通りだね♪」
むむう、確かに見るからに嫌みな雰囲気。眼鏡に『たまえ』言葉……。
それに朝っぱらから世界征服だなどと大声で言える奴といえば……まさか……。

「さては、君……悪者だね!?」
「如何にも、我が名はクゼ(久瀬)! 悪者だ!」
「くっ! 万が一とは思ったけど、やはり悪者か……」
ふうっ、危ない危ない……。ボクでなかったら気づかないところだったよ。
「もう、さっきから、そう言ってるよぉ」
「さすがだな、よく見破った」
「当たり前だよ、ボクの目は節穴じゃないよ!」
「うぅ……わたし、無視されてるよぉ……」
うぐぅ、名雪さんが怯えてしまっている。一刻も早くこの悪者を退治しなくちゃ。
だが、今変身したら正体がバレてしまう……。
よし、ここは悪者の様子を伺いつつ、じっとチャンスが来るのを待つよ。
「あ、そうだ……ね、ねえ、それよりもあゆちゃん」
「うん、どうしたの、名雪さん?」
「あのね、そろそろ急がないと遅刻しちゃうよぉ?」
「うぐぅっ!?」
言われみると、予鈴まで時間無い……。これは走らないと間に合わないかもしれない。
かといって、この目の前の悪を見過ごすわけにはいかなし……。
「うぐっ、ボクはどうすればいいんだろう……」
「ふぁいとだよぉ!」
「うぐぃ!?」
「迷った時は、ふぁいと(根性)だよぉ、あゆちゃん」
「そうか、ファイト(根性)だね!」
「うん、ふぁいとだよ、ふぁいと!」
「よし! YES! ファイト!」
流石は名雪さん、素晴らしいことを思い出させてくれたよ。
これでもう、ボクに恐れるものは何一つ無い!
「あ、それとね、あゆちゃん」
「今日遅刻したら、闇の罰ゲームだからね、じゃあ」
「うぐぅ?」
そう言い終えると同時に、遠ざかっていく名雪さんの背中。
しまった! ボクとしたことが闇の罰ゲームの存在を忘れているなんて……。
「ふぉふぉふぉ、君は行かなくていいのかい?」
うぐぅ、このままではボク遅刻しちゃうよ。それでなくても今月は遅刻しまくってるのに。
確か、もう一度遅刻すると、闇の罰ゲームでマインドクラッシュされちゃうんだ……。
「どうした、うぐぅ、かかってこないのかね?」
「うぐぅ、卑怯だよ、悪者め!」
「ふぉふぉふぉ」
うぐぅ、このままボクが悪者を見逃して学校に向かえば……。この悪者はきっと、朝のホームルームが終わる頃には世界を征服している事だろう。


説明しよう! 理屈としてはこうだ!
あゆが学校に遅刻する→先生に怒られる→一闇の罰ゲームで人格崩壊。
そして、鯛焼き市場が混乱!
さらにオゾンホールが広がり、悪者が世界を征服するのだ!

「な、なんて恐ろしいことを……そんなことはさせないぞ!」
「ほう……では、君、遅刻してもいいのかね?」
「……た、確かに冬のこの時期にマイドクラッシュすると目覚めた時にはきっと留年している……」
「ならば、なぜ?」
「だ、だが……だからといって……悪者に背は見せられないよ!」
「ふぉふぉふぉ、よくぞ言った! ならば、かかってきたまえ、うぐぅ!」
「応(うぐぅ)!!!」

どがんっ!

「うぐぅ…………」
「ふぉふぉふぉ、他愛もありませんね」
「う、うぐぅ……」
遅刻を覚悟でせっかく戦ったというのに、ボクには世界の平和も守れないというの!!?
「では、お前のトドメを刺して……この私が世界を征服しさしあげよう」
「う、うぐぅ……」
あんなに精一杯戦ったのに、ボクの力ではこんなものなの……。
このままでは……このままでは……闇の罰ゲームと世界の終わりが待っている……。
『うぐぅ、うぐぅ……』
「うぐっ! その声は……」
『うぐぅ、私の声が聞こえますか?』
「は、はい、お母さん(マザーコンピュータ)!」
『立ち上がるのです、うぐぅ』
「だ、だけど、ボクの力では奴に……」
『いいえ、自分を信じるのです』
「……自分を?」
『そうです、自分を信じて戦えば……貴方はきっと勝てます』
「……ボクが……勝てる……?」
『では……うぐぅ、世界を頼みましたよ……』
「ま、待ってよ、お母さん(マザーコンピュータ)!」
……自分を信じれば勝てる? それはいったいどういう意味なんだろう?
圧倒的に相手の方が強いのに、それでもボクに勝機が……。
「いや……待てよ……」
「どうしました、うぐぅ、もう覚悟はできたのですか?」
「うぐっぐっぐっ……」
「なんだね、その笑いは?」
「死ぬのは君だよ!」
「なにいいっ!?」
「チェンジィィィうぐぅぅぅぅっ!!!」


賢明なる読者ならもうお解りだろう。
世界の平和を守る死者(使者)月宮あゆは、天国のお母さん(マザーコンピュータ)のご機嫌な時に千六百七十七万千二百十六色の色数を発揮し、正義のヒロイン『ソルジャーうぐぅ』に変身するのだ!


『うぐぅ参上!』
「なにいぃいいっ!?」
ボクの姿を見て、驚愕の表情を浮かべるクゼ(久瀬)。
奴の悪者としての本能が告げるのだろう。
このボクが先ほどまでのボクでは無いと。
体に漲るパワー、そして溢れる正義の心!
そう、今こそ世界の平和を守る時!
「残念だったね、クゼ。君の野望もここまでだよ! 君にも解るはずだよ! 今のボクには決して勝てないことを!」
「く、くう、こうなれば貴様もろとも……」
「うぐぅパンチ!」

バアコオオオン!

「あう!」
「うぐぅキック!」

ズガガアアアン!

「ぐおう!」
「そして……これがトドメだよ! うぐぅ鯛焼き割り(チョップ)!」

ズパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

「ぐあああっ〜!」
「どうだ、悪者め、参ったか」
「お、おのれ……お、おぼえていたまえ!」
ボクの必殺技を受けて、クゼも懲りたことだろう。
おそらく、これで、しばらくの間は大人しくしているはずだよね。
「うぐぅ♪ 今日も世界の平和を守ったよ」
だけど、悪者を退治したのに、なにか胸にひっかることがあるんだ。
他にも何か大事なことがあった気がするんだ。世界の平和以外にも守らなければならない指命が……。
「…………」
うぐぅ! 今日遅刻したら闇の罰ゲームだったんだ!
「うぐっ! 早く学校に行かないと!」

キーンコーンカーンコーン!……


「うぐぅ〜、雑巾が冷たいよ……」
あれから全力で走ったんだけど、ギリギリ間に合わなかったんだよ。
まだまだボクも修練(食い逃げ)が足りないね……。
しかし、遅刻は遅刻、メインヒロインたるものルールは守らねば……。
というわけで、なんとか闇の罰ゲーム(マインドクラッシュ)は許してもらって、学園物のお約束な罰である放課後一人で掃除にしてもらったんだ。
「あははは……」
「うぐぅ?」
「あはは……大変だね、あゆちゃん」
「なんだ、名雪さんか」
「ねえ、あゆちゃん、手伝ってあげようか?」
「名雪さんが? でも、何か悪いよ」
「ううん、別にいいよぉ〜」
そう言って、無邪気に笑う名雪さん。
まったく、なんて良い人なんだろう。
冷たい雑巾にも構わずボクの手伝いをしてくれるなんて……。
「だけどね、あゆちゃん」
「うぐぅ?」
「後でイチゴサンデーおごってね♪」
「うぐ、やっぱり無料じゃないんだね……」
「あはは、世の中厳しいんだよ、あゆちゃん」
「うぐぅ、酷いよ、名雪さん……」


こうして今日も世界の平和は守られた。
だが、その影にうぐぅの活躍があったことを知る者はいない。
頑張れうぐぅ、負けるなうぐぅ!
悪の手から地球を守るのだ!
GOGOうぐぅ! GO! GOGO囲碁!
















次回予告レトルヴァ
「香里さん、香里さん、起きてください」
「………………」
「……ぼそ(起きろ、出番のないパチモンキャラ)」
「誰もパチモンよっ! 出番が無くて悪かったわね!」
「起きてるじゃないですか」
「………………で、何の用よ?」
「久しぶりのお仕事(次回予告)ですよ」
「……まだ何か書く気あったの? で、いったい何の続きよ?」
「新作です」
「………………」
「………………」
「………………マジなの?」
「私はお金にならい嘘はつきませんよ」
「猫ライドは? かのっぷらーは?」
「なんですか、それ?」
「………………」
「………………」
「……………………」
「実は2月14日頃、バレンタインネタでKPを書こうとして、3月1日になったので香里さんの誕生日ネタに変更して、書いてる途中で3月14日になったちゃったのでホワイトデーネタにしようとして結局没にした話があったりします」
「…………馬鹿?」
「否定はしません。その失敗を元に、この作品は一日で一気に書き上げました。書きかけで間を挟むと駄目になるということを悟りましたから」
「悟るほどなことなの……?」
「まあ、いろいろあったんです、かのっぷらーの後真面目に悩んだんですよ、ただ単にキャラをカノンキャラに変えただけの話なんて読んで面白いのかどうかとか? まんますぎるんじゃないかとか?」
「めんどくさくなったってだけじゃないのね?」
「………………」
「……否定しなさいよ……」
「……DC版みずいろって面白いですね、香里さん」
「……いきなり話変えるわね……」
「まあ、そんなわけで今回のは、元ネタの知名度がどれほどなのかというのも興味のあるところだったりします。あと、元ネタを知らない人の目にどう映るのかも興味があります」
「寒いだけなんじゃない?……元ネタと同じく……」
「それを言ったらお終いです」
「……まあ、個人的には元ネタは楽しかったけどね、最高に馬鹿らしくて……」
「ギャラクシーエンジェルと同じ法則ですね、くだらなくて馬鹿らしくても、楽しければそれで良しと……」
「そんなものなのよ、アニメ(漫画)なんて……面白いことが最優先事項よ」
「そうかもしれませんね。では、今回はこの辺で……」
「次回もまた新作だったら……洒落にならないわね……」
「…………」
「……だから、否定しないさいよ……」
「次回は加速する物語です」
「まさか、それって……!?」
「では、香里さん、同じ時間、同じ場所でまたお会いしましょう」
「DC新キャラ気に入ったのね……」
「小さな恋と冒険の物語です」



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Kanon Princeess(カノン・プリンセス)第5話