リナリナ猫瑞希ぱきゅう編【夢現の猫ライド】
第8話「異次元なお絵かき(マッド・ドウジンシ)」



「すばる、ティリアを頼むにゃ」
「どこへ行くんですの、猫瑞希ちゃん?」
「野暮用にゃ」
「駄目ですの、ちゃんと答えてですの」
「ティリアに頼まれてたこと、やりに行くだけにゃ」
「無茶しないでですの」
「解ってるにゃ。あたしが臆病なの知ってるはずにゃ」


猫瑞希は市街につくと、カーギーの本拠地であるビルを見上げる。
「さてと……」
ポケットをあさる。出てきたのはボロボロのお札、ティリアからの依頼料。
依頼の内容は仲間を助け出すこと。
「やるかにゃ」



ちゃんらちゃんらら〜 ♪ ちゃんちゃら ♪ ちゃららら〜 ♪

「奪えにゃ! 全てにゃ! その手でにゃ! 目覚めた本能(猫耳)体を駆けめぐ    るにゃ〜 ♪」
「夢や愛なんて都合のいい妄想♪ 全年齢版(コンシュマー)踏みしめ 果てしない18禁版へと手を伸ばす〜 ♪」
「ぱきゅぱきゅふぁいあ ♪ そう大胆に魂に火をつけますの ♪ 逃げ場なんてありませんの ♪ 落とせない原稿を描き上げるまでは〜 ♪」

               猫ライドOPテーマ 歌 猫瑞希、緒方理奈、御影すばる



カーギーの談話室。楓、初音、千鶴を始めとしたカーギー隊員が揃っている。
「何……?」
「第1級犯罪者N1998(猫瑞希)が現れたんですか?」
「やはり、生きていたんですね……」
「それで、その人はどこにいるの?」
「……そこです」
「にゃっ♪」
猫瑞希は片手を上げて陽気に挨拶する。
「どういう馬鹿っぷりですか……夏の虫でももっとマシな考えしますよ」
「まあそういきがるにゃよ、あたしはお前らともめるためにここにきたんじゃないにゃ」
「じゃあ、何しに来たんですか?」
「カーギーに入ってやろうと思ってにゃ」
「フフフッ……それは笑えない冗談ですね!」
千鶴は茸をかざして戦闘態勢を取る。
「猫さんのせいで何人仲間が犠牲になったと……」
楓が初音の言葉を途中で制すと、猫瑞希に尋ねた。
「……どういう心境の変化ですか?」
「一度戦ってあんたらの強さがよく解ったにゃ。あたしは長いものには巻かれる主義にゃんでね、勝ち目のない戦はしたくないにゃ」
「そんな嘘説得力無いよ……」
「じゃあ、どうしたら信じてくれるにゃ」
「何をやっても信じません!」
「にゃは、そいつは困ったにゃ〜」

カツンカツンカツン!(近づいてくる、足跡)

「真勇、友愛、愛情、そのどれもが他社を信じるところから始まると私は思っています」
「隊長……」
「へえ、お前が」
「カーギー部隊隊長セリオ・クルスガワです。N1998……いえ、貴方の名前は?」
「猫瑞希にゃ。本名かどうか解らないし、名字もにゃいけど」
「猫瑞希さんですか……カーギーへようこそ!! 貴方の入隊を心から歓迎し歓待します」
「流石、隊長さん、話が解るにゃ〜」
「貴方の実力なら当然ですよ」
「隊長何を考えて……」
「入隊です!」
「よろしくにゃ〜 ♪」



セリオの執務室。
「……猫瑞希という猫が本気でカーギーへ入隊したがってるとはとても思えません……」
「ええ、そうでしょうね」
「そこまで解っていながら、なぜ……」
「彼女は天野さんを倒しました。当初はC−と判断されたが、A級に近い能力と考えていいでしょう。そうでしょう?」
「確かに手強い相手です」
「ならば、異存は無いはずです。カーギーは優秀で有能な能力者を切望しています」
「……私が手強いと言ったのは、あの猫が一筋縄でいかないという意味です。それに、あの猫が考えを変えるとは思えません……頑な猫です」
「ほう、まるであの猫の全てを知り尽くしているような口振りですね」
「……手合わせした者の直感だとお考えください……」
「フッ……それでも、たとえそうだったとしても、我々には優秀で有能で有益な同人作家がいるじゃないですか。編集者との要求に応え、時間通りに描き上げる女性、職人風の気質を持ちつつ、萌を失うことの無い、理想的で不正質の同人作家が」
「……しおりんを使うもりですか!?」
「使う?……当然使います。最良の采配を振るうのが私の職務であり、責任なのですから」
「……けど……」
「他の隊員にも徹底させてください、これは命令です!」



「この施設のどっか捕まった連中がいるはにゃ、どうにかして手がかりを……」

ピッ! ピッピッツと機械を弄る、猫瑞希。しかし、猫の知能で扱える機械ではなかった。

「……にゃあ、わけわからないにゃ……」

ポン

「にゃ!?」
「あははーっ ♪ あなたがこっち側に来るとは思わなかったですよ、寝込み好きちゃん ♪」
「猫瑞希にゃ! いいかげん名前ぐらい覚えろにゃ!」
「あははーっ ♪ この際、改名しませんか ♪
「ふざけんにゃ!」
「つれないですよ ♪ 理奈達の仲間になったんでしょう♪ あなたも少しは文化的なものにふれて……」

ダン!と机を叩く、猫瑞希。

「お前が何しようと、どこに行こうと勝手にゃ、だがこれだけは言っておくにゃ、あたしに干渉するにゃ! いいにゃ、二度目はないにゃ」
「あははー ♪」
「ふんにゃ」
「うぐぅ、猫瑞希さんだね」
「お前は……」
「これで四回、いいえ、三度回だね。カーギーの月宮あゆだよ。セリオ隊長から市街を案内するように頼まれたんだよ」
「ふぇぇぇ!?」
「へえ、カーギーも粋なことをするにゃ」
「あの、なゆさん ♪」
「あゆだよ!」
「ごめんなさい ♪ ですが、寝込み好きちゃんは野生動物(ケモノ)というか野獣(ケダモノ)というか……」
動揺する理奈に気づいた猫瑞希は、いやらしく笑うと、あゆの肩に手を回した。
「さあ、いこうにゃ〜 ♪」
「ふぇぇぇぇぇっ! オウムストラクション ♪」
理奈は苦悩しているように見えないが、苦悩するポーズをとる。
「にゃふふ ♪」
「うぐぅ? どうしたの?」、
「にゃ、なんでも無いにゃ、なんでも、気にしないでいいにゃ ♪」
「……あの猫……」
去っていく猫瑞希とあゆの姿を、楓はすっきりしない表情で見つめていた。



『走っている車です』

カキカキカキッ!

『観光案内に退屈そうな猫瑞希さん、あゆさんセリフ『だったら……ご飯にしようよ。でも、その前にやることが……』……と』

カキカキッ!


『ゴスロリ(黒いフリルいっぱいの洋服)に着替えさせられる、猫瑞希さんと……』

「うぐぅ、よく似合ってるよ ♪」
「そうかにゃ、なんだか、ロリロリにゃ……」
「そういうのが今の流行りだよ ♪」


『高級レストランに入る、二人と……』

「にゃ……なんの食い物か全然解らないにゃ……どろり濃厚?……ゲルルン?……紅生姜丼?……なんにゃ?」
「良かったら、ボクが適当にオーダーしようか?」
「ああ、頼むにゃ」


「まるで恋人同士だね〜」
「…………」
「あたし達もそうみえるかな?」
「…………何、初音?」
「なんでもないよ〜聞かなかったことにして……」


猫瑞希の前に差し出されるさらには、たい焼きが一つ。
「こんだけにゃ?」
「次々出てくるよ ♪ たい焼きだけが(たい焼きフルコース)ね……(にやそ)」


『その後、ゲームセンターや遊園地にもよって、猫瑞希さんは楽しくすぎしました……と』

カキカキ!

『猫瑞希さん、飲み物を片手にベランダへ…………今日の楽しさを反芻するように夜空を眺める、猫瑞希さん。ああ、こんな世界知りませんでした、みんなにも教えてあげたい、ああ、安良からなことは美しいです』


ビルの頂上に立っている、ストールを纏った胸の小さいな少女。
少女の手には『こんなカップリング知らなかった』というタイトルの漫画原稿があった。
「王道カップリング、マイナーカップリング、リバーシブル、総受け、総攻め、近親に幼女に獣、全てシナリオ道理、どんな趣味な人もオッケイな完璧なドラマ。そう、この私こそ、大手同人作家であるこのしおりん(栞)こそ、物語の神なのです! 第1日終了と」



猫ライド(アイキャッチ)



『翌日……と』

「今日からカーギーの見習い隊員になった猫瑞希です、よろしくにゃ〜 ♪」
「あははーっ ♪ そう堅くならなくていいんですよ ♪ カーギーは出動命令がないかぎり行動の制約は殆どありません ♪」
「じゃあ、飯でも食ってるかにゃ〜」
「駄目だよ、猫瑞希さんは規則をみっちり勉強しなきゃ」
「にゃ、面倒そうにゃ……」
「大丈夫だよ、ボクが勉強みてあげるから、頑張ろうよ」
「はいはいにゃ」
不意に猫瑞希の視界に、鋭い目つきをした楓の姿が映った。
「にゃ〜一緒に勉強するかにゃ」
「……フン」
楓は踵を返して去っていく。
「何行ってるの〜。その前に、猫瑞希さんは学力テストも受けないと駄目だよ〜」



あゆと初音に勉強をみてもらっている、猫瑞希。
学力テストの結果は……。
「にゃ、人間以前の知能……」
「うぐぅ、気にすること無いよ。一つ一つ覚えていけばいいんだから
「そうだよ、あ、それと今夜は猫瑞希さんの歓迎会だよ〜」



「にゃ〜 ♪ こんなのが食べたかったにゃ〜 ♪」
御馳走に食らいつく、猫瑞希。
「華やかにゃ、ここは〜 ♪」
猫瑞希は楓を見つける。
「にゃ、先輩 ♪ どうした喰わにゃいのか〜?」
「……馴れ馴れしくしないでください……」
「そんな怖い顔するにゃよ〜この前殴ったことなら謝るにゃ、悪かったにゃ、ソーリーソーリーにゃ」
「……それでいいんですか、あなたは……?」
「にゃにが? それじゃあ」
楽しげに去っていく、猫瑞希。
「……(……なんですか、あのふぬけぶりは……いくら、しおりんのアルターにとらわれているとはいえ……あんな猫を気にかけていたのですか、私は……)……」
「楓さん、勝手なアドリブを入れて、私のシナリオを壊されては困ります」
「…………」
「私はセリオ隊長の命令で漫画を描いているんですよ」
「………………」
舌打ちすると、楓は去っていく。
「私のアルター、マットスケッチ(異次元なお絵かき)は人間の思考を変換し漫画の登場人物にできるのに……それを己の意志だけで阻むなんて……」
「にゃはははは ♪」
「所詮、単純な猫……」
「あははーっ ♪ 気を付けることですね ♪ あの子はそんなたまじゃありません ♪ 理奈の次ぎに速く動ける女の子ですよ ♪ 寝込み好きちゃん は♪」
「役名が間違ってます!」
「ふぇ?」



「にゃ〜 ♪ 良い所にゃ〜、リーフでばたばたしてた自分が馬鹿みたいにゃ〜 ♪」
満足げにベットに倒れ込む、バスローブ(風呂上がり)猫瑞希。


「その夜、あたしは夢を見ませんでしたの。なぜ? どうしてなんですの?」


「素晴らしいです、私の原稿!」



「……私はあなたがカーギーたる資質があるか確認をしていません」
「だからどうしたにゃ?」
「……手合わせしませんか……?」
「いいにゃ〜」




『猫瑞希の拳をかわす、楓。楓の攻撃。手刀主を払う、猫瑞希。戦いを通して互いを認めていく、二人。微笑む、猫瑞希。微笑む、楓。そして…………ダブルKO!』


「決着つかずですか……流石です、猫瑞希ちゃん。あなたの実力確認させてもらいました。私はあなたをカーギーと認めます。あなたも今日から仲間です」
楓は異常にさわやかな笑顔で握手を求める。
「まだにゃ……まだにゃ、こんなのじゃ全然満足できないにゃ!」


『何!?』


「やめて、猫瑞希ちゃん、仲間……」
「それとこれは関係ないにゃっ!」


『やめてください! 私の原稿にそんなセリフは……』


「こんな半端なまねができるわけないにゃああっ!」


『そんな、私の完璧なシナリオを無視するなんて……』


「続けるにゃ! 白黒つくまで!」


『私の原稿があああっ!?』


「やめて。猫瑞希ちゃん、私の負けでいいから……だから、やめて……」
「だからって何にゃ…………はっ!?」
猫瑞希は覚醒する。
「(そうにゃ、こいつこんなこと言う奴だったかにゃ? それにあたしはカーギーなんかで何やってるにゃ?……そうにゃ! 目の前にいるこいつはむかつく女郎にゃ!、なんで忘れてたにゃ、なんで考えなかったにゃ)……違う! こいつはあの女郎じゃないにゃ!」
「やめて……」
「お前は嘘にゃあああああっ!」

ドコオオオオン!

砕け散る世界と偽楓(栞の原稿用紙)
それと同時に、登場人物にされていた者達が正気を取り戻す。
「うぐぅ!?」
「楓お姉ちゃん?」」
「だから言ったんですよ ♪ そんなたまじゃないって ♪」
最初から、栞の能力に支配されていなかった、理奈が楽しげに笑った。



「てめえの仕業かにゃ!?」
「私の完璧な漫画を……なぜ、泣ける(感動系)のシナリオを勝手に変えるんですか!?」
「何がシナリオにゃ! 全然萌えが足りないにゃ! ひとりよがりもいい加減にしろにゃあっ! 撃滅のセカンド猫パンチ!」

ドコオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

「あははは、素晴らしいです、猫瑞希さん。その能力に敬意を表して、私は自主的な新しいネームを提供します」

ヒラヒラ〜!(猫瑞希に投げ渡される1枚の原稿)

「こいつは!?」




「ネイティブリーフの搬送終了しました。まもなくフライトします」
「了解しました」
「……隊長、彼らはどこへ?」
「その質問は最重要機密に接触します。答えることはできません」



「滑走路前方に何かいる!?」
「……猫瑞希さん!」
「……なぜここに……」
猫瑞希の姿を確認した楓は管制室から外に飛び出す。



「ティリア……お前の依頼、今果たすにゃ。抹殺のラスト猫パンチ! にゃらあああっ!」

ガコオオオン!

飛行機を撃ち落とそうとした猫瑞希だが、間に出現したエディフェルに止められてしまった。
「ぐううにゃあ……てめえ!」
「何をしているんです……」
楓は猫瑞希を羽交い締めにする。
「離せにゃ! カーギーごっこはもう終わりにゃ!」
「……しおりんの力から逃れた!?」
楓の戒めから抜け出すと、猫瑞希は上空の飛行機に向かって飛び上がった。
「待ちやがれにゃ!」

ボフウウウウウッ!

しかし、飛行機の噴射で猫瑞希は吹き飛ばされる。
「にゃああああああああぁぁぁぁっ!」

「フフフッ……やおい(私の物語)はハッピーエンドになってはダメなんですよ(はぁと)」
それを見て一人ほくそ笑む、しおりん(栞)だった。



「……申し訳ありません、隊長……猫瑞希を取り逃しました……
「あなたの言ったとおりになりましたね。あの猫は一筋縄ではいかないようです。カーギーにとって驚異になる存在かもしれませんね」
「……責任を持って、あの猫は私が倒します」
「ほう……あなたが嬉しそうな顔をするのを初めてみました」
「……そんなことはありません……」
「しおりんにも伝えておいてください、カーギー部隊は実績を上げ続けてこそ、カーギーなのだと……」
「はい、猫瑞希はこの手で!」




次回予告(美汐&香里でお送りします)
「ちょっと毎日更新には間に合いませんでしたが、またまた猫ライド更新です」
「目標はあくまで目標なのよ……こうやって自分を追いつめることでペースを早めるのよ……」
「人間とは愚かですね。ギリギリまで追いつめられないと行動できない……」
「……イヤミみ?」
「いえ、かっては私も……そうでした!」
「…………」
「………………まあ、コミックマスターごっこはこれくらいにして、香里さん、仕事をすませてしまいましょう」
「……解ったわ……『全てのヒロインに特殊能力が宿る、ここが噂のアルターの森……その中心から吹き出す謎のジャム(光り)が、正体不明の主婦(アルター)が猫瑞希を大きく変貌させる。背負うものため猫瑞希、あえて地獄を味あう』……ふう、こんなところね」
「お疲れさまです」
「でもいいの予告しちゃって?」
「構いません。これからは毎回次の話数の猫ライドの予告をしてしまうことにしましった。例え、次の話数が後に欠番になっても」
「欠番ってあなた……」
「こまかいことを気にしてはいけません、香里さん」
「…………」
「では、今宵はここまでということで」
「……まあ、いきなり話数飛んだり、17話より前の話はもうやらなかったりするかもしれないけど……次回もよろしくね」
「見てください」



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