リナリナ猫瑞希ぱきゅう編【夢現の猫ライド】
第4話「ビックマコナム」



インナー(人気の無い)リーフキャラ達のすむ小さな街。
その一応平和といえないこともない街に銃声が響く。

ズキュウン! ズキュウン! ズキュン!

「注目、注目してください。私達、カーギーがあなた達に与える要求は降伏だけです」
狐皮のマントをまとった赤毛の無表情の少女は淡々とそう告げた。
いきなりそんなことを言われて納得する者はいない。少女に向かって罵声の嵐が浴びせられる。
「降伏の意味が解らないんですか?」
少女の横に粒子が集まり、巨大な何かが形成されていく。
「要するにあなた達はこれから永遠に私に支配されるということです。文句を言わずただひたすら私に尽くしてください」

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


「はっ!?」
その爆発音は遙か遠くの香里の耳にも届いた。
「は…………初出番!?」
次回予告にしか存在できない少女の最初で限りなく最後な出番の回はこうして始まったのだった。



ちゃんらちゃんらら〜 ♪ ちゃんちゃら ♪ ちゃららら〜 ♪

「奪えにゃ! 全てにゃ! その手でにゃ! 目覚めた本能(猫耳)体を駆けめぐ    るにゃ〜 ♪」
「夢や愛なんて都合のいい妄想♪ 全年齢版(コンシュマー)踏みしめ 果てしない18禁版へと手を伸ばす〜 ♪」
「ぱきゅぱきゅふぁいあ ♪ そう大胆に魂に火をつけますの ♪ 逃げ場なんてありませんの ♪ 落とせない原稿を描き上げるまでは〜 ♪」

               猫ライドOPテーマ 歌 猫瑞希、緒方理奈、御影すばる



「今日こそちゃんと働いてくださいですの」
「はいにゃ……」
「食材残り少ないんですのよ」
「はいにゃ……」
「人間の言葉解ってますの?」
「そこまで馬鹿にしないで欲しいにゃ……」
猫瑞希は嫌々ながら地味(稼ぎの少ない)仕事をしていました。
しかし、『猫』は飽きっぽい生き物。アッと言う間に仕事を放り出し、悪友ティリアの持ってきた非合法だけど儲けの良い仕事に飛びついてしまったのです。


「何があったにゃ!?」
「カーギーのキャラ狩りにょ……」
「弾痕はあるが、争った跡が無いにゃ……抵抗はしなかったのかにゃ?」
「無理を言うなにょ、みんなお前みたいなアルター(オフィシャルに無い特殊能力)を持ってるわけじゃないにょ」
「あたしは違うにゃ! 例えアルターを持っていなくても逆らうにゃ! 徹底的ににゃ!」
「……威勢がいいわね……」
「香里さ〜んにょ」
「……時間には正確ね、ティリア君」
「香里さんに会うためなら当然にょ!」
「……仕事でしょ」
「そうだったにょ」
香里は溜息を一つ吐くと、視線を猫瑞希に向ける。
「……あなたが助っ人?」
「そうにゃ!」
「あたしの名前は美坂香里……香里でいいわ……」
「猫瑞希にゃ」
「……もっと美少女かとおもったわ……ただの猫じゃないの……」
「あんたも『見た目通り』きつい正確してるにゃ! 可愛くないにゃ! 人気出なさそうにゃ!」
「にょお! 依頼人になんてこと言うにょ!」
「こいつが先に喧嘩売ってきたにゃ」
「……鍵キャラのあたしがここ(リーフ)で媚びを売ってなんの意味があるの?」
「で、依頼は何にゃ?」
「……ここで捕まったキャラの解放よ……」
「萌えの無い雑魚キャラを助けてどうするにゃ?」
「……あなたの意見は聞いてないわ……報酬分働けばいいのよ……辞める?」
「今度の仕事は香里さんも協力してくれるにょ」
「協力にゃ? お前が?」
「……いけない?」
「足手まといにゃ!」
「馬鹿を言うなにょ! 香里さんはアルター使いにょ! しかも今回の仕事に必要な能力を持ってるにょ!」
「……見せてあげるわ!」
「髪で触れた物をアイスに変える力にゃ?」
「しかも、バニラ、チョコ、ストロベリー、抹茶、ミントなどなど……味が豊富にょ! おやつに最適にょ!」
「……お前のバイク、バニラアイスになってるにゃ……」
「にょおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「あ……悪かったかしら?」
「にょ……大丈夫にょ……全然平気にょ……」


「給料が少ないです!」
「しかし、リーフキャラの収入はこの十分の一以下です」
「私は鍵(Kanon)でメインヒロイン以上に人気のある天野美汐ですよ!」
「……小説もCDドラマも出せなかったクセに……」

ガコオオオン!

「死にますか?」
「………………」
名もないリーフキャラはもうお亡くなりになっていました。


「……あ……足が……」
香里が色気を見せて見張りの兵士を誘惑し、

ドカッ!

猫瑞希が死角からその兵士を攻撃し気絶させた。
「そういうポーズしてると結構萌えるにゃ」
「……エロ猫……」


音一つたてず機械がアイスに変わっていく。
「オッケイ、その調子にゃ ♪」
動力炉を全てアイスに変えるにたいして時間はかからなかった。


「後はあたしの仕事にゃ。えっと…………」
「……美坂香里よ……一度で覚えなさい」
「自信ないにゃ(記憶力に)……バイバイにゃ」
猫瑞希の右腕が粒子状態に分解され、異なる形に再構成されていく。
巨大な猫グローブに……。
「衝撃のファースト猫パンチにゃ!」

ズゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

「すごい……アレが猫瑞希のアルター能力……」


「こんな分かり易い襲撃をするのは、どこの馬鹿ですか?」
不機嫌な表情の美汐が姿を現す。
「あなた達は過ちを犯しました。その罪は全員の死を持って償わなければいけません。そう決めました。私が今決めました。だから、送ってあげます、このビックマコナムで!」
美汐の横に構成されていく巨大な銃……いや、大砲
「あぅ〜?」
その大砲に装填されている弾丸(真琴)が声を上げた。
「皆殺しにしますよ、真琴」
「あぅ!」
「……待ちなさい、全部あたしがやったのよ……」
「では、あなたからです!」

ズドドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

「あうううううううううううううううううぅぅぅっ!」
香里に向かって発射される弾丸。
弾丸と香里の間に割り込む猫瑞希。
「撃滅のセカンド猫パンチ!」

バココオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

「にゃ…………」
「ボロッチイですね、ネイティブリーフ」
猫瑞希の右腕の猫グローブは酷く傷ついていた。
それでも、猫瑞希は美汐に拳を向ける。
「愚かですね、私の太くて硬いビックマコナム(真琴)に 拳なんかが通じるわけがありません」

ズドオオオン!

「太いんです、硬いんです、お馬鹿さんなんです、私の真琴は」
「あう!? あう!? あうぅぅっ!?」
連射される弾丸(真琴)。
「あぅ…………」
弾丸(真琴)はかなりボロボロになっていた。
だが、それ以上に猫瑞希はダメージを負っていた。
「今です!」
自分が優勢であるにも関わらず、さらに美汐は香里を人質に取る。
「くだらない余興はおしまいです」
「卑怯にゃ! これがカーギーのやりかたにゃ!?」
「いいんですよ、カーギーは任務達成が目的、手段は問いません。それにインナー(雑魚)リーフキャラなど、私の快楽に身をささげて当然なんです」
美汐は本当に『それが当然』といった顔をしていた。
「逃げるキャラは地獄に堕とします」
「まるで残虐超人みたいな奴にゃ……」
「どうせなら完璧超人と言ってください。では、卑劣な感じでもう一度ど言います。抵抗しないでください」
小銃を香里のこめかめに押しつける美汐。
「猫瑞希、何をしてるにょ! 抵抗をやめるにょ! 香里さんが殺されちゃうにょ!」
「…………」
しかし、猫瑞希は拳を、構えを解こうとしなさい。
「にょ! お前まさか……」
ティリアの考えを肯定するように、拳に力を込めていく、猫瑞希。
「フィリスソードにょ!」

カン!

ティリアの投げつけた剣が美汐の小銃を弾く、その隙を見逃さず、香里は美汐の拘束から逃れた。
「ちっ! ビックマコナム!」
「抹殺のラスト猫パンチにゃああああああっ!」
「あうううううううううううううううううう!」
弾丸(真琴の頭)と猫瑞希の拳が激突する。
「見下してるんじゃないにゃああああああああっ!」
「あぅ!?」
「なっ!?」

ドゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

「美汐の反応が消えました」
美汐を失ったカーギーはあっさりと撤退していった。



「……一応、礼は言っておくわ」
「ただの偶然にゃ」
「……ありがとう……」
「にょお! お前、香里さんを見捨てる気だったにょ!? あたしが投げなきゃどうなってたと思ってるにょ!」
「でも、お前、投げたにゃ」
「にょ……」
「これから、こういう仕事は最優先であたしに回してにゃ」
「お前?」
「勘違いするにゃ、カーギーの奴らのやり方にあたしがムカついてきただけにゃ」


「猫瑞希さん、あたし毎日夢を見るんですの」
「夢ぐらい誰でも見るにゃ……」
「違いますの! あたしは夢の中で名前も知らない猫耳少女になってますの 凄く素敵なんですの」
「どんな顔をしてるにゃ?」
「ぱきゅう、解らないですの」
「そんにゃんで、素敵なんて解るのかにゃ?」
「だから……」
「今日は逃がしませんよ、マイペット」
「今日こそよろしくお願いしますの」
「にゃあっ! 急にお腹の調子が……」
「打たれたいですか、マイシスター?」
「今日も1日頑張るにゃ!」
「はいですの☆」




次回予告(香里&美汐でお送りします)
「……なぜか、かなり久しぶりな気がするわね……」
「気のせいです。猫ライドこそ間が空きましたが、SS自体はかなり良いペースで更新されているはずです」
「……ホントに?」
「そういうことにしておいた方が無難です」
「…………」
「それはともかく、最初で最後の出番(猫ライド本編)お疲れさまでした」
「フッ……」
「何が可笑しいんですか?」
「甘いわね……チェックが甘すぎるわよ、天野美汐さん」
「…………」
「あなたは今日のス○ライドを見なかったの! 再登場するのよ! あたしの担当キャラは!」
「………………香里さん」
「……何よ、その哀れむような目は……」
「それが第何話だと思ってるんですか? 深夜アニメだったら最終回(13話)越えてる話数なんですよ」
「……それが何よ……?」
「まだ気づかないんですか?…… 猫ライドがそんなに続くわけがありません!(断言)」
「!?」
「まだ今回は第4話です……」
「………………」
「………………」
「……無理な希望?」
「ええ、絶望的ですね」
「……でも、奇跡ってことも……」
「起きないから奇跡って言うのよ…………は香里さんの決めセリフじゅありませんでしたか?」
「う……」
「まあ、とりあえず仕事をさっさと片づけてしまいましょう。香里さん、第6話の予告をお願いします」
「……6話? 5話はどうしたのよ?」
「作者は元ネタの第5話を見損ないました」
「………………欠番になるの?」
「可能性大です。作者が第5話を観れるまで休載するという手もないこともないのですが……とりあえず、6話を先にやってしまう可能性が大ですから……」
「……6話の予告を今やってしまおうってわけね……」
「そのとおりです」
「……解ったわよ、やればいいんでしょう、やれば…………(声切り替え)……て、エイトの役誰がやるのよ?」
「若本○夫の声で女言葉使わないでください。気持ち悪いです……」
「悪か……(声切り替え)……悪かったわね。それで配役は?」
「未定です。馬鹿で駄目人間なアイドルにするか、魅力的で愛らしいアイドルにするか迷っているそうです」
「……前者が由綺さんなのは一発で解るわね……後者の方は……まさか!?」
「ええ、そのまさかです。流石にもったいない&使いにくいという難点が……」
「……一応、猫ライド2話に忠実するなら、由綺さんってことになるわね……」
「その辺はあまり気にすること無いかと思います。アニメで途中で声優の変更という例も実は少なくありませんから」
「……それとは何か違う気がするわ……まあ、とにかく配役未定なら予告できないわよ。予告の中で名前あげるから……」
「では、今回は予告は無しということで……」
「そうね……では、例によって、次の作品が何になるか解らないけど、よければ来週(次の作品)も見てね」
「では、おつかれさまです」
「……またね」
「絶対運命天誅殺」


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