カノン・サバイヴ
第2話「謎の毛玉ヒロイン」




家でカードデッキを拾ったのが全ての全ての始まりだった。
お母さんの忘れ物かな? まさか、祐一の玩具?
とにかく、それを持っていたら変な世界に引きずり込まれるは、強制的に体操服に着替えさせられるは、蜘蛛の怪物に襲われるは……とにかく大変である
そこへ……。
「ソードベント! 観鈴ちんランサー!」
蜘蛛の怪人(怪物)から名雪を助けたのは……見たことのない学校の制服(夏服)を着た金髪の少女だった。背中には漆黒の鳥の羽が生えている。
「行け、空(そら)!」
背中の羽が少女から離れると、巨大なカラスと化し、蜘蛛の怪人を攻撃する。
「ファイナルベント! どろり濃厚斬!」
再びカラスと合体した少女は空高く飛び上がると、錐揉みしながら急降下し蜘蛛の怪人を貫いた。
「……どこが『斬』なのかな……?」
斬というより、どっかの鳥型戦闘機のオーラに包まれて特攻って感じの技に見えた。
「それにどろり濃厚っていったい……」
名雪が少女に近づこうとした時、
「ケロピー!?」
空から等身大のケロピーが飛来し炎を吐き散らす。
「だおおっ!?」


その後、逃げながら、少女……神尾観鈴という名前らしい……から、いろいろ話を聞いた。
ここがエターナルワールドという別次元だということ。モンスターのこと。変身のこと……などなど。
で、名雪はなんとかけろぴーと契約を交わしたのだった。
普通(市販)の体操服とブルマが、ケロピーマークの入った特注の体操着とブルマとなる。

「にはは、今のうちに潰しておいたが良さそうだね」
突然、名雪に襲いかかってる、観鈴。
「トリックベント! ゲルルンイリュージョン!」
ゲルルン……スライムのような液体が人の形を取っていく。
「分身!?」
ゲルルンの変化した分身達と観鈴の攻撃にひたすら翻弄されていく、名雪。
「ファイナル……がお……時間切れがお……」
エターナルワールドにとどまれる時間にはタイムリミットがあった。
タイムオーバーしてしまうと二度と元の世界には戻れなくなるらしい。
そもそも、永遠の世界というのは元々何もない真っ白な世界で、背景(ビルや家)などは入ってきた人間の望んだ景色、前に居た場所などを再現してるだけのものだそうだ。
現実世界と違って破壊されてもたいして問題ない。



「了承」
ちなみに、観鈴はその後どういうわけか水瀬家に居候してしまいました。
「ヒロインは同時攻略できない、ハーレムエンドなんてないからね」
つまり、最後に生き残れるヒロインは一人だけらしい。
最後の一人になるまで戦い合うのがヒロインの宿命だと観鈴は言う。
「観鈴ちんには戦わなければ……生き残らなければいけない理由がある」



行方不明者が続出する。
とても人間の仕業とは思えない事件。
「かのりんは魔法が使えるようになったんだよぉ」
霧島佳乃、青いショートカットの少女。彼女が全ての事件の犯人だった。
「変身だよぉ!」
佳乃は漆黒のナース服に変身する。ちなみにポテトの刺繍入り。
「そのために何人にも人間を怪物にわざと食わせたというの!?」
「かのりんの魔力を高めるためには必要な犠牲なんだよぉ」
佳乃に悪びれた様子は欠片もない。
「酷すぎるお……」
「君は今まで食べたパンの数を憶えてるかなぁ? 憶えてないよねぇ。それと同じことだよぉ」
「ソードベント! どろり濃厚剣」
「ストライクベント! ネビュラバンダナ!」

バシィ!

「がお!?」
「ストライクベント! サンダーバンダナ!」

バシュウウン!

「がお……なんて強さ……」
「食べたモンスターの数が違うんだよぉ、ねえ、ポテト」
「ぴこぴこ」」
佳乃の契約モンスター、ボルポテトが笑う。巨大な毛玉の化け物(犬?)だ。
「くっ……ストライクベント! ケロピーフィンガー!」
「ガードベント! ローリングバンダナ!」
バンダナが佳乃を守るように彼女の周りを取り囲む。
「だお!?」
ケロピー柄の手袋をつけた名雪の手刀をあっさりとはじき飛ばした。
「なら、ストライクベント! ケロピー特攻!」
名雪はジャイアントスイングでケロピーを投げつける。
「だから無駄なんだよぉ、ガードベント! ボテトディフェンス!」

ごっくん!

「だおおっ!? 毛玉がケロピーを飲み込んだおっ!」
「さあ、そろそろ終わりにするよぉ〜ファイナルベント! かのりんアタック!」
「ぴこっ!」
ポテトを踏み台にして佳乃が弾丸のように名雪に襲いかかる。
「ガードベント! 竜巻ケロピー……だおおおおおおおおおおおおおおっ!?」

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

名雪を守ろうと現れた無数のケロピー達を蹴散らし、名雪に激突した。

「だ……だお……」
「まだ生きてるのぉ? 君を死に損ない一号に命名するよぉ」
「ナスティベント! がおブレイカー!」

がおっ!

観鈴の突然出した大声が超音波となって佳乃にダメージを与える。

「観鈴ちんのことを忘れてもらちゃ困るよ。観鈴ちんはヒロインだから戦う! ファイナルベント!」
空(そら)と合体した観鈴が空高く舞い上がった。
「くっ! ファイナルベント! かのりんアタック!」
「どろり濃厚斬!」

ズガアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

「……うぅ〜……今のはちょっと効いたかなぁ……」
立ち上がったのは佳乃だけ、観鈴はぴくりとも動かない。
「これで一人減ったねぇ」
佳乃が勝ち誇った笑みを浮かべた瞬間……。

ボロッ……。

佳乃のカードデッキが崩れだした。

「なっ!?」
同時に、タイムリミットの時と同じように佳乃の体が薄れだす。
「そ、そんな……かのりんが消える!? 助けてポテ……」
「ぴこ♪」

ごっくん♪

ポテトは佳乃を丸飲みにした。
「ぴこぴこ♪」
佳乃を吸収しパワーアップしたポテトは、次の獲物を倒れたままの観鈴に定める。
「そうはさせないおっ!」
ポテトの前に名雪が立ちはだかった。
「観鈴さんは友達……あなたに食べさせたりしない……」
「ぴこっ!」
ポテトは獲物を名雪に変更する。
「ファイナルベント! ケロピーキック!」

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

「ぴここおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

断末魔と共にポテトは消滅した。
爆炎の中から立ち上るポテトのエネルギー。
「ケロピー……食べていいよ……」
ケロピーはエネルギーを飲み込み吸収する。
こうして壮絶な戦いの幕は下りた。
残るヒロインは12人……。









次回予告(美汐&香里)
「というわけで第2話をお送りしました。ここまではほぼ原作通りですね」
「あっさり一人始末したわね……」
「佳乃さんが蟹さんというの結構あっさり決まりました。ポテトといういかにも丸飲みしそうなモンスターがいたのと、あまり勿体ない気がしなかった気がしましたので……」
「勿体ない?」
「キャラへの執着というか未練です。佳乃さんなら別にいいかと……」
「またそんな危険な発言を……」
「原作どおりなら香里さんの命も残り……」
「なっ!?」
「では、そういうことで今回はこの辺で……」
「ちょっと、待ちなさいよ!」
「では、またお会いしましょう」
「……く……まあいいわ、じゃあ、またね」
「戦わなければ生き残れません」



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