Kanon Princeess(カノン・プリンセス)
第8話「打ち切りは突然に……」



「…初めての出会いは平凡だったけど」
「んにゅうの恋と」
「…人は呼ぶのでしょう」
以上、ナギーちるちる合唱団『ラブ・デスティニー』でした。
「…みちる、よく頑張ったで賞」
「んにゅう……またお米券……」
「…不満ですか?」
「だって、このお米券この島(雪国)だと使えないよ……」
「…………」
「……んにゅう?」
「…………」
達筆な手つきで新しい券を偽造する、美凪。
「…はい、みちる」
「……んにゅ……最初の文字がタ行になって、2文字目に点がついてる……」
お米券が『てごめ券』になっていた。
「…みちるにてごめにされちゃいます…………ぽっ」
「……んにゅうう……」
「…2文字目と3文字目を入れ替えるのは、この作品が全年齢版であるからできません」
「……んにゅ……みちるは子供だから解らないよ……」
「……何やってるのよ、あなた達……」
呆れ顔の香里。
「…たまには『オーソドックス』な冒頭で初めてみようかと思いまして」
あれがオーソドックスなのか?と疑問に思ったがあえて口には出さなかった。
「…それより、香里さん、大変です」
「……あなたが言うと全然大変そうじゃないわね。冷静そのものじゃない……」
「…原作(元ネタ)が終わっちゃいました……」
「……だから?」
「…なのに、この作品(KP)まだ原作の三話あたりなんです」
「えっ?」
言われてみれば、この前、学校に初登校した気がする。
その後、いきなり『三ヶ月』とばされたような気もするが……。
「…12人揃うのに時間がかかってしまいましたから」
「……あなた達のせいなわけね……」
「…AIRをプレイしてなかった作者が悪いんですよ。危なくクリアする前にDC版が出てしまうところでした」
「……この作品書かなかったら、絶対プレイしなかったわね、そしてDC版も持ってるだけでプレイしないのよ、きっと……」
「…実際、DC版も現在持ってるだけでプレイしてないそうです」
「…………」
「…DC版Kanonは舞さんと佐祐理さんだけ、こみパはすばるさんだけしかクリアしないで放置する作者ですから……DC版AIRも、プレイしたとしても、私だけでしょうね……」
「………………」
「…あ……でも、国崎さんはクリア(の声は聞きたい)したいと言っていました……」
「……………………」
「…ちなみに、シス○リは千影さん非血縁2種類と咲耶さん非血縁1種類しかクリアしてないそうです」
「……………………」
「…というわけで、今回でKPは最終回です……ぱちぱちぱちぱちぱち」
「どういうわけよ!?」
「…ハーイ、ミッチー(みちる)、場面転換です」
「OK、ナギー!」


「…その時、秋子さんの力が発動し、全ては因果地平の彼方へ……」
「いきなり、終わらすなっ!」

スパンッ!

「んにゅごうっ!……なんで、みちるが……」
「……その娘(美凪)が避けたから、あなたに当たったのよ……」
後ろに目でも付いてるかのような回避能力だった。
「…駄目ですか?」
「当たり前よ……」
「…では、こんなのはどうでしょう?」


グサッ!
香里の剣と名雪の剣が互いに相手を貫いた。
「あゆちゃん、浄化を……!」


「…Kanonの物語を知る者は幸せである。それゆえに……」

バコン!

「んにゅうごっ!」
「あなた……そんなに全滅エンドにしたいの……?」
「…駄目ですか?」
「駄目に決まってるでしょ!」
「…では、一味捻ってみます。ヘイ、ミッチー!」
「OK、ナギー!……て、なんでみちるが殴られるのかな……」
「……知覚の限界を超えた回避能力もってる姉(美凪)を恨みなさい……」


Kanonの真実を知った名雪は秋子を殺し支配者の座につく。
そして、鍵の刻印が発動し宇宙(そら)が歪むのだった。
「お姉ちゃん〜もう帰ってこないでいいですよ〜!」
地上では、みんなが香里の帰りを待って……いなかった。


「……だから、打ち切り作品を見本にするのは辞めなさいよ……」
「…では、異能者の香里さんが秋子さんの後継者になることを拒否して、冷凍睡眠して宇宙を漂うというのはいかがですか?」
「……あなた、そんなに、あたしを宇宙に追放したいの……?」
「…星は嫌いですか?」
「そういう問題じゃないわよ!」
「…全滅も、宇宙追放もされない作品も無いこともありません」
「じゃあ、それにしなさいよ」
「…『白髭』」
「……月光蝶?」
コクリと頷く美凪。
「……それだけは辞めて……」
どのキャラを担当させられても嬉しくない作品である。
「…では、ジャムガイムなんていかがですか?」
「何よ、それ……」
「戦争を裏から操っていた秋子さんを倒した後、狂った妹(栞)の面倒を見て、香里さんが一生を終えるという物語です」
「…………それはちょっといいかも……」
「…シスコン?」
「……あなたにだけは言われたくないわよ!」
「そんな妄想しているお姉ちゃん嫌いです!」
「栞!?」
「美凪さん、ひとを勝手に狂わせないでください」
「…他のがいい?」
「あたりまえです!」
「…ヘイ、ミッチー!」
「OK、ナギー!」


カタンカタン! カタンカタン!
「おいで、あたしのアニマムンディ」


「…イッちゃてる香里さんが、栞さんの2Pキャラ(色違い)を抱いて、『何処か』へ去っていくオチです」
「いきなり作品がマイナーになったわね……それから、イッちゃてるは余計よ……」
「お姉ちゃんの慰めものになるなんて嫌です」
「栞……」
「…流星さんって、映画版(完結編)でワンシーンも出てこなかったんですよ」
「……もう少しまともな最終回は無いの?」
とかいいながら、ジャムガイムとカノン電脳組はまんざらでも無い香里だった。
栞とずっと一緒……。
「…仕方ありません。原作(元ネタ)忠実にしてあげます」
「んにゅ、ネタバレ注意だよ」
「原作?」
「…香里さんが苦しんで苦しみぬいて、最後はお葬式で終わりです」
「誰があなたの所(AIR)に忠実にしろって言ったの!?」
「…鳥類にされる方がいいですか?」
「だから、AIRは辞めなさいよ……ハッピーエンドな結末は無いの?」
「…AIRは、私のバットエンドが一番ハッピーエンドという説があるぐらいですから……」
「あたしは別に不幸じゃないよぉ、ねえ、ポテト」
「ぴこっ」
「…実は、影で神尾さんが不幸になってたりしますけど」
「が、がお……」
「それは誰のEDでもだよぉ。というか、自分のEDですら幸せになれない神尾さんって……」
「……が、がお…………」
「…幸せどころか、『楽にすら』してもらえませんから」
「が…………がお………………」
「あたし……AIRのキャラじゃなくて良かったと心底思うわ……」
「お姉ちゃんはサブキャラ(ED無し)だから、いらぬ心配です」
「……栞……あんまりよ……」
「…では、無難に終わらせようと思います。ミッチー!」
「OK、ナギー!」


「あははーっ ♪ まさか、この佐祐理が倒されるとは……でも、これで終わりではありませんよ ♪……」

ドカアアアアアアアアアアアアアン!

「了承おおおおおおおおおおおおっ!」
三つ編みの巨悪のシルエット。
「アレがあたし達の本当の敵なのね!」
「これからが本当の戦いだお!」
「うぐぅ! 行くよ、みんな!」
香里達の戦いはまだ始まったばかり……。
美凪先生の次回作にご期待ください。


「伝説の十週打ち切り……」
「わ、美凪さん、絵上手いですね」
「…みちる、ベタと消しゴムお願い」
「んにゅ」

カリカリカリカリカリカリカリカリカリ!

「こんなのもありますよ」


「……ところで、『薬』持ってませんか?」
「ええ、ありますよ」
「どうやってやるんですか? 瓶に入ってますけど……」
「ちょっと段取りが必要なんです。でも、効き目は……凄いですよ、他の『薬』なんて目じゃありませんよ。何しろ、直接脳に刺激を送りますから」
「それは凄いですね! なんて名前なんですか?」
「フフフッ…………『邪夢(ジャム)』です」


「……超人秋子『邪夢の涙』……なんて恐ろしい漫画描いてるのよ……」
「うわ、凄い巻数出てるんですね、これ……永遠の命を持つ超能力者の話なんですね」
「……まさか、これ……実話じゃないでしょうね……?」
「…………」
「否定しなさいよ!」
美凪はその質問には答えず、
「…なぜか、載る雑誌が例外なく休刊になってしまうんです」
「お母さんをモデルにするからだよ……」
「名雪?」
「……ぼそ(あのね、香里、お母さん……私が物心付いた時から『28歳』なんだよ……)」
「!?」
「……お母さんは『歳』取らないんだよ……」
16年間、まったく姿の変わらない母親……。
「秋子さんのことは触れない方が……いいみたいね……」
「命が欲しかったらそうするべきだよ……」
「…………とにかく、ちゃんと決着のついた最終回は無いの?」
「…では、ラスボスを倒した後の結婚式のセル画で終わりでいかがですか?」
「セル画って何よ!?」
「…では、少女漫画的に、浜辺でキスしてFinというのは?」
「……どこの少女漫画よ、それ……」
「…わがまま?」
「あなたが、まともな最終回を思いつかないからでしょ!」
「…仕方ありません……誰も文句を付けれない究極至高の最終回をご覧にいれましょう」
「今度こそ本当でしょうね……?」
「…バッチリです」


「ジャイアン秋子に喧嘩で勝ったわよ、名雪えもん。あたしは1人でも大丈夫よ……」
『さよなら、名雪えもん』完。


「…………」
「…流石にこれには文句付けれませんね……えっへん」
「………………」
「…巨匠、しかも故人にケチをつけるなんてことできるはずありません」
「秋子さんに喧嘩で勝つのは無理だよぉ。ねえ、ポテト」
「ぴこっ!」
「にはは……ツッコムところそこなんだ……?」
「でも、アレって再開されちゃったんですよね? 編集部命令で打ち切りにしたのに、辞めないでという子供の声が大きくて」
「そして、アニメは作者が亡くなってるのに今だに続いてます」
「サザ○さんとドラ○もん」
「コ○ンも作者が亡くなったらそうやって続くと私は睨んでいます」
栞と美汐のアニメ談義は続く。そして話がどんどん本筋からずれていく。
「…他には夢オチエンドや植物人間エンドがあります……見たいですか?」
「見るまでもないわよ……その二つだけはやっちゃいけないのよ、人として……」
「…実は、香里さんはあゆさんの見ていた夢の中だけの登場人物で、あゆさんが目覚めると同時に消滅……」
「……一応聞くけど、その作品のタイトルは……?」
「…カノンメア・チルドレン」
「……あなたが普段どういう漫画を読んでるかよく解ったわ……」
「…まだ、切り札はあります。カノン・エラーズという究極の作品が……」
「…………それはとっておきなさい(辞めなさい)……」
「…残念」
「…………」
「…では、次はカノボリカなんてどうですか?」
「……創造神(秋子さん)とあたしが激突する話?」
「…正解です……ぱちぱちぱちぱちぱち」
「……話を大きくすればいいってもんじゃないわよ……」
「…カノンロウズ」
「あたしが名雪や秋子さんに復讐する話?」
「…また、また正解です……ぱちぱちぱちぱちぱち」
「……いい加減にしなさいよ……」
「美凪、大変だよ〜」
「…どうしたの、みちる?」
「もう、時間が無いよ」
「…仕方ありません……次でラストです。文句苦情一切受けつけません」
「ちょっと……」
「…ヘイ、ミッキー!」
「……ミッキーじゃなくて、ミッチーだよ……」



「香里の心具(剣)が再生されただお!?」
「…………」
「あくまで、わたしの前に立ちふさがるのなら……今度は心具じゃなくて、香里自身を真っ二つにしてやるお!」
ガキィィィン!
「ぐっ! なんだお、この力は…………ビクッとしないお!」
「……名雪。あたしには負けられない理由がある……!」
「……それは、わたしのセリフだお! 香里を倒して、わたしは最強を目指すお!」


「……お帰り、お姉ちゃん!」
「……ただいま」


「手酷くやられたようですね、名雪」
「……お母さん……」
「…………」
「……お母さんなら知ってるよね?……香里の負けられない理由って何かな?」
「それを聞いてどうしますか?」
「……それを潰してやるお!」


香里達の長い長い旅はここから始まった。
紀元三世紀の動乱の雪国……後にKanonと呼ばれるこの国で……。
幻想の物語は続く……。
『雪国幻想記』第一部完!




「…我ながら最高の傑作です……」
うっとりとした表情の美凪。
「……もういいわよ……それで……」
「チェキ!? 今回で最終回ってホントなの? あたし達、この前登場したばりだよぉ」
「にはは……わたし、がおがお言ってただけだよ……」
「…私ももっと活躍したかったです」
「あなたは活躍しすぎよ!」
「…では、名残惜しいですが、この辺でさよならです」
「んにゅううう」
「まるで、美凪さんが主役のように仕切ってますね」
「……あたしが主役のはずなのに……」
「…では、第二部は来月からということで……」
「はい!?」
「がお!?」
「だお!?」
「うぐぅ!?」
「ポテト、ここで問題だよぉ。それぞれ、誰の驚きの声か解るかなぁ?」
「ぴこ! ぴこ! ぴこ! ぴこ!」
「正解だよぉ。香里さん、神尾さん、名雪さん、あゆさん、良く解ったね」
「まあ、そんな気はしていました」
欠片も驚いてない美汐。
「あははーっ ♪ 佐祐理と舞はちゃんと知ってましたよ ♪ あくまで第一部完って ♪」
「…………(コクリ)」
「あぅ〜?」
『第一部完!』や『最終回』の意味が解っていない、真琴。
「……えっと、私は……勿論、知ってましたよ、お姉ちゃんと違って……」
知ったかぶりをする、栞。
「お母さんは知ってたの?……て、お母さん居ないや……」
「…秋子さんなら別の作品の収録に行きました」
「あ、そうなんだ」
「…では、そういうわけで第一部完ということで……」
「んにゅう、とりあえず終わりだね!」
「…では、いずれまた……」
「あははーっ ♪ 最後のセリフは舞が決めてください ♪」
「……また、来世……」


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