Kanon Princeess(カノン・プリンセス)
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「笹の葉~サラサラ~ ♪ 牧場に揺れる~ ♪」 「そんな歌詞だったか?」 「うぐぅ、多分合ってるはずだよ」 「で、続きは?」 「笹の葉~サラサラ~ ♪」 「…………」 「笹の葉~サラサラ~ ♪」 「………………」 「笹の葉~サラサラ~ ♪」 「……………………」 「笹の葉~サラサラ~ ♪」 「……………………で、続きはどうした?」 「うぐぅ、祐…おにいたま意地悪だよ…」 「やっぱり、覚えてないわけだな」 「うぐぅ……」 7月7日土曜 今日は七夕である。 「舞 ♪ 願いことなんて書いたんですか?」 「……兄くんと佐祐理とずっと一緒にいられますように……」 「あははーっ ♪ 舞、とっても可愛いですよ ♪」 「……佐祐理は……?」 「あははーっ ♪ 佐祐理のはとってもささやかで慎ましい願いですよ ♪」 舞は、佐祐理が笹にかけようとしている短冊をチラリと見てしまった。 『世界が早く佐祐理の物になりますように ♪』 「………………」 「ふぇ? どうしたんですか、舞?」 「……佐祐理……願い叶うと……いい……」 「あははーっ ♪ いざとなったら自力で叶えますよ ♪」 「……佐祐理……」 「くーっ、姫(名雪)特製七夕カスタム料理だよ~」 「名雪……寝ながら料理しないで……危ないわよ」 「くーっ、くーっ、大丈夫だよ、香里」 「凄く危なっかしいんだけどね……」 「くーっ…………」 「…………眠ったわね……最後まで包丁を手放さなかったのは立派だったわ」 名雪は包丁を握り、立ったまま燃え尽……眠りについていた。 「後はあたしがするから、安心して寝てなさいね……」 「あの笹の葉が全て散った時、私の命は……フフフッ……ドラマみたいですね」 「当分お亡くなりにならないってことですね、残念です」 「さらっと酷いこと言いませんでしたか、未汐さん……」 栞はベットに横になって星空を眺めていた。 「栞さん、そもそもキャラが間違ってますよ。あなたの担当は病弱じゃなく活発です、病弱なのは秋子さんです」 「そんなこと言う人嫌いです」 「別に嫌いで結構です」 「…………」 「…………」 「…………」 「まあ、いいです。秋子さん程ではないですから……」 「確かに、あの人は病弱どころか……殺すこと自体不可能ですね」 「あの人を殺そうとする身の程知らずの愚か者自体居ませんけどね……」 「………………」 「………………」 「星が……天の川が綺麗ですね、未汐さん」 「そうですね……」 それ以上、秋子さんの話題に触れるのをさけるように、二人は星空に視線を移した。 「あゆあゆにバトルを申し込むわ!」 「うぐぅ! またなの真琴ちゃん……こんな日に」 「こんな日だからこそよ! 七夕があなたの命日よ!」 「いいでしょう。その代わり、賞金は普通の5倍ですよ」 「うぐぅ!? なんで未汐ちゃんがボクの代わりに了承するの!?」 「高すぎるわ、3倍よ!」 「では、10倍です」 「なんで増えるのよ~!」 「それなら4倍でいいです」 「あう~、それなら10倍……あう?」 「真琴ちゃん……ボクより馬鹿なんじゃ……」 「フフフッ、冗談ですよ。真琴がお金無いのは知ってますから」 「あぅ~……」 ドオオオオン! チャラララ~ ♪ 「うぐぅ!? 何が降ってきたの!?」 「あぅ~?」 「呼ばなくても来たようですね、ジャッチマン(審判)が……」 「あははーっ ♪ こんなこともあろうと、衛星(お立ち台)を作って置いたんですよ ♪」 「佐祐理……衛星軌道上から落ちてくるのは危ない。家が壊れる……」 「あははーっ ♪ 後で責任を持って直しておきますね ♪」 「それなら、良い……」 「良くないわよ……」 「流れ星(佐祐理衛星)早すぎますよ、三回願い事言えませんでした」 香里を始め、みんなが集まってくる 「あははーっ ♪ ギャラリーも来ましたね ♪ では、バトルフィールドセットアップ ♪ バトルモードミルキーウェイ ♪ あゆさんVS真琴さん、ふぁいと ♪」 「うっぐっぐっ ♪ 今回はシュナイダーで一気に片づけてあげるよ ♪」 「シュナイダーといってもファイアシュートは撃てませんからね」 「うぐぅ?」 「なんでもありません。あゆシュナイダーコンプリートです」 「いきなり、バスターウィングスラッシュ!(鋭利な羽を前面に突きだしてのタックル)」 「甘いわ!」 洗練された優雅な動きであゆをかわす真琴。 「うぐぅ!? かわされた!?」 「前の真琴とは違うのよ! 真琴は『学習』したの ♪」 「正確には『学習』できるようになったんです。オーガピロシステムによって」 「おーがぴろしすてむ?」 「真琴の頭をよく見てください、あゆさん」 「うぐぅ!? 頭に猫が乗ってる!?」 真琴の頭上には、まるでそこが定位置とでもいうようにピロ(猫)が乗っていた。 「そうです。これによって、学習能力が0だった真琴が、物を覚えられるようになったのです」 「あぅ~……何げに酷いこと言ってない、未汐……?」 「そんなことありませんよ。元々、身体能力『だけ』は人間以上な真琴に明晰な頭脳(猫並み)がついたことで戦闘能力は以前の比ではありません。さらに……」 「こんなこともできるのよ ♪」 プシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ! 「うぐぅ!? 煙幕?」 「正確にはバルサンです」 「火力も上がったのよ ♪」 パンパンパンパンパンパン! 「うぐぅ!? 今度は何!?」 「ネズミ花火です」 「とどめ! レザーフォックスクロー!」 バキィィン! 「うぐぅ……このままじゃ……未汐ちゃん!」 「はいはい、用意してありますよ。真琴、チン○ン」 「あぅ!?」 流石にチン○ンはできない。でも、未汐の命令は絶対?……真琴が苦悩している間にあゆの換装が完了する。 「あゆパンツァーコンプリートです」 「うぐぅぅ……重いこの羽リュック……」 「下手に動くと足の骨を折りますよ」 「うぐぅぅぅ……」 「よくも真琴に恥をかかせたわね、あゆあゆ!」 呪縛が溶けた真琴が襲いかかる。 「うぐぅっ! ハイブリット(18禁&全年齢)Kanon!!!」 ギュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン! 「あうううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」 「うぐぅ、凄い威力……これなら秋子さんでも殺れるかも……」 「フフフッ……誰を殺るんですか、あゆちゃん?」 「うぐぅ!?」 気配もなく背後に現れる28歳。 「バーニングビックたいやき!!!(全弾発射)」 ズドドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン! 「うぐぅ……殺っちゃった?」 ゆっくりと土煙が晴れると、そこには…… 「フフフッ……あゆちゃん ♪」 E(エネルギー)フィールドに包まれた無傷な28歳が極上な笑みを浮かべていた。 「秋子さん! 今のは殺意じゃなくて、恐怖で反射的に引き金を引いてしまったんだよ!」 「フフフッ……」 「お母さんを殺りたいなら、最低でも荷電粒子砲を用意しないと駄目だよ~あゆちゃん」 「名雪、起きたの?」 「うん」 「じゃあ、見せ物も終わったみたいだから、戻りましょうか」 「うん、ここからは残虐シ~ンだね~テレビで放送できないよ~」 「うぐうううううううううううううううううううううううううううううううぅぅぅぅっ!」 かつて、自由と勇気、そして飽くなき探求を持つ者がいた。彼女が愛したものは雪と空と、そしてたいやきだった……。 「流石、香里~料理も完璧だね~」 「そんなことないわよ……」 「祐一さん(兄上様)、祐一さん(兄上様)、この邪夢(ジャム)を塗ると、料理がもっと美味しく……」 「勘弁してください、秋子さん(本能的に呼び捨てにできない)……」 「お姉ちゃんよりわたしの出番が無いなんておかしいと思います……」 「……私も出番少ない……」 「あははーっ ♪ 細かいこと気にしちゃメッですよ ♪ この人数で全部のキャラクター立たせるなんて不可能なんですから ♪」 「なんの話してるの、あの子達……」 「あはは、きっと酔ってる(愚痴ってる)んだよ~」 「お酒用意してないんだけど……」 「境遇に酔ってるのかな~?」 「………………そういえば、未汐さんは?」 「あゆさん、換装システム、秋子さんに完璧に壊されてしまいましたからしばらく使えませんよ」 「うぐぅ……」 「修理費と未払いの開発費必ず払ってくださいね」 「うぐぅぅ……」 未汐は笹の木に向かって話しかけていた。正確には、短冊と一緒に吊されている『物』に。 「邪夢(ジャム)漬けにされるよりは良かったじゃないですか。一命は取り留めたことですし」 「うぐぅぅ……」 未汐は笹に自分の短冊をかける。 「では、私は七夕パーティに戻りますね。ご機嫌用、あゆさん」 「うぐぅぅ……」 不意に、未汐の短冊があゆの視角に入る。 『真琴と楽隠居……』 「年寄り臭いよ、未汐ちゃん……」 ちなみに、あゆの願いは……。 「やっぱり、『たいやきいっぱい』じゃなくて、『打倒秋子さん』にするべきだったかな……」 叶わないから願い(奇跡)……。いや、例え奇跡が起きても、あの存在を倒すことだけは誰にもできないだろう。それでも願わずにいられない。 「うぐぅ……」 あゆの呻きは夜の闇に呑み込まれていった。 次回予告(香里&未汐でお送りします) 「…………?」 「どうしました、香里さん?」 「数時間前に同じようなことをしたような気が……」 「既視感ですね。まあ、実際に数時間前に同じこと(次回予告)しましたけどね」 「なんでこんなに間がなかったの?」 「よくよく考えると、前の話が全然七夕と関係なかったからです」 「なるほど……広告(七夕記念)に偽りありだったのね……」 「それに、ゾイドネタは時間がたてばたつほど美味しくなくなりそうでしたし」 「で、今後の予定は?」 「今度こそ、K・Pは少し休むそうです。残り3キャラを出すためには、あるゲームをプレイする必要がありますから」 「……K・P(カノン・プリンセス)は?」 「いきなり『東京ナユナユ』を始めるかもしれません。あらたな新作を始める可能性も……無くはありません」 「つまり、予定は未定なのね、完全に……」 「では、この辺でさよならです」 「またね。良ければ来週(次回)も見てね……」 「Kanonの歴史がまた1ページ……」 |