Kanon Princeess(カノン・プリンセス)
第10話「年始SP『新番組全て見せます』」



「うぐぅぅぅ!?  大変だよ! 大変だよ、最近存在抹消(出番のなかった)されてた祐一君!」
「……余計なお世話だ……で、何が大変なんだ?」
「新田君がいきなり負けてたんだよ!」
「はあ?」
「さっきキャプテン翼を見ようとテレビを付けたら、番組始まって二分しか経ってないはずなのに新田君が負けてたんだよ……」
「…………」
「いくらなんでも扱い非道すぎるよ! 二分で出番終わりなんて……」
「………………」
祐一は無言で新聞紙を手に取った。
「うぐぅ?」
「……おい、今日の放送17時からだったみたいだぞ」
「うぐぅ?…………うぐぅですとっ!?」
「……なんだその変な驚き方は……?」
「うぐぅ ♪ 最近『うぐぅ』もマンネリで廃れてきたから、新型の驚き方を開発したんだよ ♪」
「……一応聞くが、何を参考(パクリ)にした……?」
「美汐ちゃんの持っていたパソコンソフトだよ」
「………………」
「うぐぅですと♪」
「……そうか、『あゆ』繋がりか……」
「うぐぅですと♪ うぐぅですと♪ うぐぅですと♪」

ドカアアアアッ!

「うぐぅ!?」
「あははーっ ♪ 普段のうぐぅ以上にうざいですよ ♪」
「……まあ、確かにうざかったが、鈍器で背後から攻撃しなくても……」
「あははーっ ♪ いやですね、祐一……お兄たま♪ これは鈍器ではなく、マジカルさゆりんステッキ(魔法の杖)ですよ ♪ ただのファンシーでラブリーな玩具です ♪」
「それにしてはやけに鈍い音がしたような気が……」
「あははーっ ♪ 杖がヒットする瞬間、全ての体重を杖の先端に移動させましたから ♪」
「そんな格闘の達人みたいことを……」
「あははーっ ♪ 格闘じゃなく魔法ですよ ♪」
「……う……うぐぅ……ですと……ぉ……」
「通背拳 ♪」

ドコオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

「うぐうううううううううううぅぅっ!?」
「あははーっ ♪ この魔法のポイントは踏み込みの強さと体のひねりです ♪」
「……それ……絶対、魔法じゃないです、佐祐理さん……」
「では、トドメは禁断魔法『雷神』を……」
「うぐぅ!? ボクを殺す気なの!?」
「この魔法のポイントは、点穴(ツボ)をついて魔力を何倍にも高めて、『天』『地』『人』の3カ所の急所に叩き込むんです ♪」
「だから、辞めて……うぐぅうううううううううううううううううううううううっ!?」



キラン!
「…………」
お米大好きなたった一人の天文部部長は星を眺めていた。
「……んにゅ? どうしたの、美凪?」
「…今、星が一つ流れました……たいやきの宿命を背負った星が……」



「佐祐理さん、その拳……魔法、どうこで習ったの?」
「あははーっ ♪ 大林寺だか少林寺だかって名前のお寺さんです ♪」
「………………」
「あははーっ ♪ こっちの世界でも魔法が習えるとは思いませんでした ♪」
「………………で、佐祐理さん、何か用なの?」
「あははーっ ♪ お正月らしく、一緒にコタツでゴロゴロしませんかとお誘いにきたんですよ ♪」



「見てください、アニキ(相沢さん)! これが12人+α用巨大コタツ初回特典ミカン付きです! アニキの資金援助は無駄にはしません!」
「あははーっ ♪ 御苦労様です、美汐さん ♪」
巨大コタツにはすでに殆どのメンバーが集合していた。
「止めないでください、お姉ちゃん……スポーツ少女という設定である以上、元気に庭を駆け回らなければいけないんです!」
「駄目よ、栞! そんなことをしたら、あなたの心臓が……」
雪の降っている庭に飛び出そうとしている栞を香里が必死に止めている。
「……死神のカード」
「うわわぁ、縁起悪いよぉ。栞ちゃんの運命を暗示してるのかな……どう思う、ポテト?」
「ぴこぴこ」
「くーっ……」
舞はコタツに入りながら占いを、佳乃&ポテトはそれ眺め、名雪はコタツで丸くなって眠っていた。
「あぅ〜……」
「たっぷんたっぷん……凄い効果音がお……」
真琴と観鈴はエイケンを読んでいる。
「さあ、お兄たま、コタツに入って一緒に正月特番を見ましょう ♪」
「特番?」
「新番組が一気に見れるお得な番組です ♪」

ポチッ ♪


「舞、人魂モード ♪ 憑依合体 ♪」
「…みちるインお米券! 黄金お米三昧!」
「マジカルぶった斬り ♪」

ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

「佐祐理はシャーマン ♪ あの世とこの世を繋ぐ者 ♪ 『シャーマンクィーン』毎週水曜18時30分放映決定です ♪」



「どうですか、お兄たま ♪ 佐祐理が主役の番組なんですよ ♪」
「…『シャーマンナギー』の方が語呂(ゴロ)が良いし、主人公の性格も近くて良かったと思います」
「んにゅ……その場合はみちるが幽霊なんだね……」
「…みちるはどのみち幽霊です」
「にゅわっ! 非道いよ、美凪……」
「あははーっ ♪ 佐祐理のパートナー(舞)はサムライですから ♪ 主役に相応しいのは佐祐理ですよ ♪」
「…でも、主役より美味しい悪役…………ぽっ」
「あははーっ ♪ じゃあ次の番組行きますね ♪」



「無駄です、佐祐理さんのデータは全て揃っています」
「あははーっ ♪ まだまだですね ♪」
「えっ?」
「佐祐理さんが左手にラケットを持ち替えたがお!」
「マジカルサーブ ♪」

タアン! 

不自然な変化をしたボールが美汐のラケットを叩き落とした。


「……無駄よ、あたしのスネークの敵じゃないわ」
「まだまだですね ♪」

ダアン!

佐祐理のショットが香里のスネークショット以上の変化をする。



「あぅ〜……このアニメ、このパターンばっかり……」
「ワンパターンですね」
美汐が辛口(当然)な評価を下した。
「あははーっ ♪ 佐祐理が主役なら別にいいですよ ♪ 次は『佐祐理の碁』ですね ♪」
「ああ、それは特許の関係で没になったそうよ」
「ふぇ!?」
「いまさら、やったって何番煎じか解らないもの……」
「ふぇー……佐祐理アニメ3連続の夢が……」
「……フッ……主役なんて名ばかりでどんどん出番がなくなっていくものなのよ……」
「実感こもってますね、香里さん」
「フフフッ……この作品(KP)の主役があたしだって覚えてる人なんてきっといないわよ……」
「まあ、アニキ(相沢さん)よりマシですよ。作者が完全に存在忘れて出さなかったんですから」
「う……」
「ふぇ! 佐祐理と祐一さんを一緒にしないでください ♪」
「ぐ……佐祐理さん……」
祐一再起不能。
「じゃあ、次は『猫ライド』の後番組……『七人のかおりん』を……」
「あははーっ ♪ それを言うなら『七人のさゆりん』ですよ ♪」
「七人に分裂してまで主役になりたいんですか?」
「う……悪い……?」
「いえ、私ならそこまでして主役になりたくないだけです。それより伝説巨人ミシオンなんてどうでしょう?」
「あぅ!? 駄目だよ、美汐、アフロになっちゃう……」
「……やっぱり辞めます……」
「…では、ここでその他の没作品を見てみましょう」



「おはようございます、月宮あゆです。ボクが水瀬の家にお世話になるようになって早くも……うぐぅ! これ以上『ですます語』で喋るの無理だよ!」
「…という理由でカノンバスケットは没になりました」



「尻尾の生えたヒロイン達 ♪ 6、3、3で12匹 ♪」
「真琴が狐なのはともかく、なんで私がタヌキの役なんですか!」
「わたしは猫の役だお〜くっしゅん!」
「自分にアレルギー感じてどうするのよ……」
「……私はうさぎさん……」
「あははーっ ♪ 舞は似合ってますよ ♪ でも、性格が違いすぎますね ♪」
「フフフッ……私は最年長ということで鶴ですか」
「……で、なんであたしが猿なのよ!?」
「…毛(髪)が多いからじゃないですか?」
「お姉ちゃんが猿なのはともかく、私が亀なのは納得いきません!」
「じゃあ、インコは羽のあるボクだね」
「がお……わたしも羽ある……あゆさんのは作り物の羽だし……」
「えっとぉ、残ってるのはカエルとハムスターと犬……じゃあ、あたし犬がいいなぁ。合体だよ、ポテト」
「ぴこ」
「あははーっ ♪ じゃあ、佐祐理はハムスターでいいです ♪」
「…カエル…………ぽっ」
「にょわわっ! いったいカエルでどんな想像したの、美凪……」
「…と、配役でもめて没にになりました」
「でも、真の理由は元ネタがシスプリに比べてマイナーだからだよね、美凪」
「…ちるちる、それは言わないお約束」
「んにゅう」



「フフフッ……皆さん、お雑煮ができましたよ、邪夢(ジャム)100%の(にやそ)」
「お姉ちゃん、私、ジョギングに行ってきます!」
「ま、待ちなさい、栞! あたしも行くわ!」
「あ、忘れていました。メカ美汐の調整の途中でした」
「真琴はお兄様(祐一)とお買い物に……ねぇ、祐一」
「おう……」
「あははーっ ♪ 佐祐理も御一緒しますね ♪」
「兄チャマをチェキしに付いていくよぉ、ポテト」
「ぴこ」
「兄君さまをお守りするためについていきますがお」
アッと言う間にみんな居なくなる。
「あらあら、仕方ないですね……では、名雪と美凪……美凪さん?」
「にょわわあっ!? 美凪いつのまに逃げたの!? みちるを置いていかないでよ」
「くーっ……」
その場に残っているのは、眠っている名雪だけになった。
「うぐぅ……非道い目にあったよ……」
『奇跡』的に一命を取り留めた、あゆが姿を現す。
「あら、あゆちゃん ♪ あゆちゃんはお雑煮食べてくれますよね?」
「うぐぅ? うぐぅううううううううううううううううううっ!」



「…星がまた流れました」
「にょわ!? まだお昼だったはずなのに背景が星空に……」
「…いまさら驚かないでください……2度目です……」
星空に浮かび上がる、あゆの笑顔と共にカノン・プリンセス第2部完!




次回予告(香里&美汐で送りします)
「二度と更新されないはずだったK・Pが更新されちゃったわね……」
「まあ、お正月スペシャルという奴ですね」
「で……今度こそホントにラスト?」
「一応そのつもりです。もはや、シスプリって要素が意味をなさなくなってますから……」
「……それ最初からじゃないの……?」
「…………」
「…………」
「……まあ、今回の目的は新番組(企画段階)を試しに書いてみたといった所です。反応の良かった作品を連載しようかと……」
「反応がまったくなかったらどうするのよ?」
「………………」
「………………」
「……可能性高いですね……」
「……ええ……」
「まあ、その時はその時で月華音姫でもやります」
「……猫ライドはどうしたのよ?」
「反応なかったから辞めました」
「なっ!?」
「半分冗談です」
「半分ホントなのね……」
「なんとかケリはつけますが、多分次は別の作品を……」
「うぐぅ ♪ 次回は『うぐぅが望む永遠』をやるんだよ ♪」

バァァン!(銃声)

「まったく、何度『奇跡』で生き返れば気が済むんですか」
「迷わず発砲したわね……」
「どうせすぐに生き返るから心配ありません」
「まあ、そうね…………じゃあ、今回はここまでということで」
「ええ、では、今年も一年K・P及びRINARINACLUB♪を よろしくお願いします」
「まあ、ただのKanonのドタバタコメディSSになるかもしれないけど、KPはまだ続くかもね……」
「最近ではそういうのスラプスティックコメディっていうんですよ」
「スラ……意味は?」
「知りません」
「…………」
「…………」
「……じゃあ、まあ、そういうことで……またね」
「この身に変えて護ります」



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