シオリ図書館


その街には小さな図書館があった。
そこには穏やかで優しい女の子がいて、
しっかり者の女の子がいて…
図書館と同じ名前の女の子がいました…。


今日から私は図書館の司書として働きます。
私と同じ名前の図書館で……。
お姉ちゃん達と一緒に……。
「しおりん……そろそろ始めるわよ……」
「はーい!」
香里お姉ちゃんが呼んでる。急がなくちゃ……


「栞ちゃん、制服、赤にしたの?」
「ええ……」
名雪お姉ちゃんの声もする。
「ごめんなさい、お姉ちゃん!」
「おそいよ〜栞ちゃん〜司書としての自覚がたりないよ〜」
「名雪、最初だからおおめに見てあげて……」
「香里は甘いよ〜最初が肝心だよ〜」
「今日から、しおりんも図書館の一員……お父さん達の想いを私達で紡いでいきましょう……姉妹『3人』で……」
「はい! よろしくお願いします」
「これで今日の朝礼は終わりね……」
「じゃあ、わたしは昨日の続きで地下の整理をしてくるよ」
「それじゃあ、しおりんには、はい、コレ」
「?」
香里お姉ちゃんが分厚い本を差し出しています。
「図書館のマニュアルよ」


「香里〜全集関係ってどこだっけ?」
「この前、図鑑の隣に移したから……」
お姉ちゃん達の仕事する声を聴きながら、一生懸命マニュアルを読みます。
「遠野さんの借りていった本の返却日っていつだっけ?」
「ごめん……今、手が離せないのよ……」
マニュアルの内容が難しくて、よく解りません。
段々とうとうととしてきました……。
「香里、お茶にするわよ……」
「………………」


「………………」
「寝ちゃってるわね……」
「緊張してたんだよ、昨日寝付けなかったみたいだし……」
「それにしても……今日もお客が1人もこなかったわね……」
「今さらだよ……しょうがないよ、こんなところ(雪山の頂上)にあるんだから……」


私、頑張ります。
私と同じ名前のついたこの図書館で……。




戻る
Kanon Princeess(カノン・プリンセス)第5話