デス・オーバチュア
|
「……獣の王、悪魔の王、翼の王、偽の神と北の……そして、黒の皇子と最後の……この上まだ何が……女神と魔王の質を持つもの?……いや、この感じには覚えがある?……まさか……そういうことなのですか?」 運命を司る女神アトロポスは暗闇の中に一人佇んでいた。 もっとも、常に瞳を閉ざしている彼女にとって周囲の暗さなど最初から意味をなさない。 「私の力の範疇を超えた存在が多すぎる……演算処理が間に合わない……」 彼女は占い師のように未来を垣間見るのではない、運命の糸の絡まりを読み解き、未来という解答を導き出すのだ。 つまり、彼女の未来予測は無数の運命というデータによる演算である。 ゆえに、新たなデータの介入により、未来という解答は絶え間なく変動していくのだ。 運命は絶対でありながら、未来は一つではない。 「……それに比べて、彼の未来のなんと単純なこと……」 とても簡単に解答を導き出すことができる人物が一人だけ居た。 峻厳(神の力)を司る者。 「……そうですね。久しぶりに運命の女神らしいことでもしてきますか」 アトロポスの姿は暗闇の中から消え去った。 「がはははははははっ! 力が満ち溢れてやがる!」 その瞳も髪も、身に纏う鎧さえ血のように赤い色。 鍛え抜かれた筋肉質の体、荒々しく野性的な顔立ちをしたその男の名はゲブラー・カマエルと言った。 ゲブラーは力強いを通り越し、周囲を蹂躙するような荒々しい足取りで通路を進む。 『生き返った』ばかりの彼は、治療のための水槽を内側から打ち壊し、己が置かれた現状を知ろうともせず、本能に導かれるように戦いの場を目指していた。 ゲブラーが歩くだけで、彼から溢れ出す闘気と衝撃が通路を破壊していく。 「……あん?」 ゲブラーが進む通路の先に一人の女が立っていた。 透き通るような水色の長い髪、長身で、シックな黒一色のドレスを身に纏っている。 女はなぜか常に両目を閉ざしていた。 「なんだ、てめえは? 見ねえ顔だな」 ゲブラーの知る限り、こんな女はファントムのメンバーの中にはいない。 しかし、この女の気配……力の波動は以前に感じたことがあるような気がした。 「ファントム十大天第五位峻厳(神の力)を司る者ゲブラー・カマエル。力だけを追い求める乾いた魂、欲望のままに生きるもっとも人間らしき者よ」 女の声はどこか冷たく感じる。 声だけではなく、彼女を取り巻く空気もまたなぜか寒々としたものを感じさせた。 「てめえ、一体……なんだ?」 この女から感じる冷たさは、残酷とか冷酷というのは少し違う気がする。 この女には人として大切な何かが欠落しているのだ。 残酷や冷酷というのは、他者を傷つけたり、弄んだりして『楽しむ』といった一面を持つ。 だが、この女からは一切の感情を感じないのだ。 感情、情調といったものが一切欠落している。 それゆえに、この女は冷たく感じるのだ。 「私は運命……それ以上でもそれ以下でもありません」 「運命だあぁ?」 怪訝そうな声を上げながらも、どこか納得するものがある。 無慈悲な運命という現象が人の形を成したもの……それがこの女だ。 「選びなさい、貴方の未来……運命を……」 「俺様の運命?」 「魔女との再戦を望むなら紫を、速きものを望むなら白を、猛々しきものを望むなら黄を、神のごときものを望むなら緑……の道を選びなさい」 「ああん?」 「私は貴方に選択肢を与えるだけ……後悔のないように……自らの最後を決めなさい」 女の姿がゆっくりと薄れていく。 「おい、てめぇ……待ちがやれ!」 「人は運命には逆らえない……けれど、運命を選ぶ自由はある……未来は一つではありません……」 その言葉を最後に、女の姿は完全に消え去った。 「つまり、ここは外れということか」 行き止まりだ。 タナトスをエランに任せ、紫の門から入った通路を進み続け辿り着いたのは何もない完全な行き止まり。 「ふむ……」 最初の色とりどりの門がある分かれ道にまで戻るのは気が進まない。 なんとなく今戻っても、あのクリア国の宰相に笑われそうだし、何より無駄道を歩かされ、さらにスタートに戻るために歩くなど……面倒臭すぎた。 「…………」 しばらく無言で思考した後、リーヴは左側の壁に向き直る。 リーヴは左掌をそっと壁に添えた。 「……神気発勁(しんきはっけい)!」 リーヴの体が白い輝きを放つ。 「はあっ!」 白い閃光と化したリーヴは壁を貫いて、姿を消した。 「……ふう、大分出遅れてしまったわね」 ファントム本拠地の入り口である洞窟の前に一人の少女が姿を現す。 「しかし、置き去りというか、完全に忘れ去られていたというか……魂殺鎌がなかったらどうなるかと思いましたわ……あら?」 入り口の近くの大木に、青紫の髪の女が座り込み、その膝で銀髪の女が眠っていた。 膝枕をしている青紫の髪の女の方も眠っているようである。 「……貴方の歴史にはあたくしの存在もお見通しなのかしらね? 歴史は人間が作るもの……あたくしの定義が人間に……生きた存在に含まれるのか微妙なところね」 少女は口元に微笑を浮かべると、洞窟の中へと入っていった。 「赤、青、黄、緑、紫、白、黒……七色七つの門……なるほどね」 少女は分かれ道に辿り着くと、七つの門を見比べて、納得したような表情を浮かべた。 赤と青と紫の三つの門だけはすでに開け放たれている。 「えっと……当たりの門は……これね」 女はたいして悩むこともなく、黒の門を選び、その前に立った。 「この中に居るのは……三人? あれ、一人減った? 別のがまた一人増えて……いえ、まだ誰か隠れてる?……えっと、なんかはっきりしないわね……まあ、総帥が居て水晶柱がある場所に繋がっているのがこの道なんだから……この道でいいのよね」 女は自分を納得させるように言うと、右腕を引き絞る。 「さあ、後は貴方に……本物のあたくしに全て任せるわよ、クロスティーナ!」 銀色の髪の少女は一撃で門を粉砕した。 「あれ……あたし、どうしてこんなところに居るのよ?」 クロスは混乱していた。 凄く大まかな意味でなら、ここがどこだか解るからこその混乱である。 ここは地上、人間界、幻想界……つまり、自分が本来生きているべき場所なのだ。 空気というか、大気というか、体が感じる全てが魔界とは違いすぎる。 この懐かしい空気は、間違いなく地上のものだ。 「確か、急に魂殺鎌が騒ぎ出して……黒い光になって天に……ああ、駄目だ、そこでプッツリ記憶が途切れているわ……」 その上、どうも頭が重いというか、頭の中に霧でもかかったようにスッキリとしない。 「二日酔い? ううん、寝不足というかなんというか……」 寝過ぎて体が逆に怠いという感じに近い気がした。 「夢遊病で魔界から地上までいつのまにか帰ってきた? どうやって?」 もしそのとおりだとしたら、我ながらデタラメすぎる。 「誰か状況説明してくれないと、これからどうすればいいのかも解らないじゃない!」 クロスは文句を叫んだ。 自分一人しかいない場所で叫んでも答えてくれる者などいるはずがないのに。 「ふむ、では、私が説明してやろう」 予想外に返事が返ってきてしまった。 「ななああっ!? あんた、なんでこんな所に居るのよ!?」 その男が、誰も居なかったはずの場所に居たから驚いたのではない。 その男がクロスにとってあまりにも予想外の人物だったからだ。 「数年ぶりに会った父親に対して、あんた呼ばわりはないと思うぞ、我が最愛の娘よ」 奇妙な銀糸の刺繍のされた黒いコートを羽織った銀髪の男はわざとらしく傷ついた素振りをする。 「うるさいわね! あんたなんかあんたで充分なのよ! 何いきなり沸いてでてるのよ! 気持ち悪いわね、この似非錬金術師!」 「似非は酷いな。確かにまだ私は目的に達してはいないが、私ほど『錬金』術師を名乗る資格のあるものは他にいないと自負しているのだが……」 「黙れ、詐欺師! 変態! この人間の屑! 」 クロスは男に対して欠片の容赦もなかった。 「ふむ、嫌われたものだな……パパは悲しいよ。子供の頃のように父様とは呼んでくれないのかい?」 「何がパパよ! さっさとあたしの前から消え去りなさいよ! このがクソカスゲス野郎!」 「むっ……私を嫌うのは構わないが、その言葉遣いはやめたまえ。お前の口からそんな汚い言葉は聞きたくはない」 飄々とした表情していた男は急に真顔になる。 「うっ……解ったわよ」 クロスは真顔になった男の眼差しに気圧されたかのように黙った。 「よしよし、良い子だ」 男は笑顔を浮かべると、クロスの頭を撫でようと右手を伸ばす。 クロスは自分に伸びてきた手を乱暴に払いのけた。 「親子ごっこする気はないわ。本当はあなたの顔なんて一秒だって見ていたくないけど……冷静に話をしてあげるわ。だから、あたしの質問に全て答えなさい、デミウル・アイン・ハイオールド」 クロスは親に向けるものとは思えない、とてつもなく冷たい眼差しを男に向ける。 「ごっこも何も私達は正真正銘血の繋がった実の親子なのだがな……」 「ええ、正真正銘、血が繋がっている『だけ』の関係よ。あたしはあなたを一欠片も愛してないし、あなたもあたしを一欠片も愛してなんかいない……そうでしょう、デミウル?」 クロスの瞳の冷たさが増した。 クロスがこんな冷たい表情をできることは、姉であるタナトスも、友人であるダイヤやエランも知らないだろう。 なぜなら、クロスがこの冷たい眼差しを向ける存在は、この世でこの男唯一人だけだったからだ。 「……まあ、確かにそうだな」 デミウルはまいったなといった感じで頭を一度かくと、クロスに負けないほどの冷たい眼差しで娘を見る。 「親子なんだから、互いに愛している『ふり』をするべきだと思わないのか、お前は?」 「あのね、なんでそんな面倒臭いことをしなきゃいけないのよ、親子で……馬鹿馬鹿しい」 「ふむ、確かに言われてみれば、無意味な行為というか無駄な労力な気がするな……」 「始めから気づきなさいよ、馬鹿。本性バレてるのに演技するなんてのは無意味を通り越して道化よ。茶番にあたしをつき合わせないで」 クロスの眼差しと声はどこまでも冷たかった。 「さて、では何の話をしようか、クロスティーナ?」 デミウルはクロスの冷たさを欠片も気にする素振りを見せない。 彼の瞳もまた冷たいが、クロスの瞳のように憎悪や嫌悪は浮かんではいなかった。 彼の場合、どうでもいいとか、興味ないとかいった感じの冷たさである。 「あなたが今までどこで何をしていたのか? ここで何をしようとしているのか?……とかはどうせ聞いても答えないんでしょう?」 「いやいや、別に隠すこともないから全部話してやってもいいが、代価はもらうぞ」 「代価!? 何よ、それ!?」 「いや、最近、錬金術師の間で等価交換という考え方が流行りでな。お前に情報を与えた分は私も何かを貰わなければならない。悪くない考え方だと私も思うぞ、この世に無償のものなどないからな」 デミウルは意地悪く笑いながら言った。 「そんな流行外れなファッションしている奴が何が流行よ……」 「ファッションセンスでお前に指摘されたくはないが……」 デミウルはちらりとクロスの服装に目をやる。 「どういう意味よ!?」 「いくら銀色が好きだからとはいえ、銀ずくめというのはどうかと思うぞ」 「うるさいわね! 銀はあたしのイメージカラーよ! 流行り廃りを気にせず自分の趣味を貫いてどこが悪いのよ!」 「さっきの発言と矛盾している気がするが……まあ、その考え方には賛成だな」 デミウルは黒いコートをクロスに向けて脱ぎ捨てた。 「ちょっと、何よ、いきなり……」 クロスは反射的に飛んできたコートを受け取る。 「そのコートと、コートの中にある物はお前にくれてやろう」 デミウルはいかにも王侯貴族といった感じの装飾の派手な赤いシャツとズボンを着ていた。 「いい歳して何よ、その服……」 「お前よりは悪趣味ではないつもりだが?」 「むぅ〜」 クロスは頬を膨らませる。 文句を言いたいが、下手に文句を言うと、さっきまでの自分の発言の矛盾点などを徹底的につかれるに間違いなかった。 口喧嘩というか、屁理屈の言い合いではこの男には勝てる気がしない。 「さて、では簡単に現状を教えてやろう」 デミウルはどこからともなく取り出した赤い長衣を羽織ると、同じくどこからともなく長椅子を取り出し、腰を下ろした。 「相変わらずでたらめね……」 「何を言う、イメージを現実化するなどという非常識な魔法と違って、錬金術は歴とした科学であり学問だ」 デミウルは長椅子の自分が座っている横を叩く、立ち話もなんだから座れということだろう。 クロスは長椅子に腰を下ろした。 長椅子の端、デミウルからもっとも離れた位置に。 「そうそう先程の流行の話の時にも言ったが、等価交換など馬鹿げた考え方だ。この世に等価な物など何一つ無い。一見同じ物でも、まったく同じ価値ではないのだからな」 デミウルは赤一色の衣装の中で唯一違う色、黒い両手の手袋をかざして見せた。 手袋の甲には赤い宝石が埋め込まれている。 その宝石の赤さは衣装の赤とは格が違う、どこまでも赤く、美しく、輝いていた。 「物質の形やサイズを変えるなど錬金術でもなんでもない。そんなものは錬金術に辿り着く過程で生まれたお遊びの技術だ」 デミウルが己の左肩にそっと右手を置くと、赤い長衣が消え去り、代わりに彼の左手には赤い布切れが握られている。 クロスが一度瞬きすると、布切れが消え、再びデミウルは赤い長衣を羽織っていた。 「世間一般で錬金術師を名乗る輩はこの程度のお遊びができる……いや、この程度のお遊びしかできない輩だ」 「ふん、いいじゃない、錬金術なんて大道芸にはピッタリの手品でしょう?」 クロスが嘲笑うように言う。 「本物の錬金術師など東西南北中央の全大陸中を探しても、両手の指の数もいないだろう」 「ふん、自分だけは本物の錬金術師だって言うの? 呆れた自惚れね」 「お前はどうしても私を否定したいというか、ケチをつけたいようだが……ふむ、そういえばお前には一度も私の研究成果を見せてやったことがなかったな」 「何が研究成果を見せてなかったよ……年に数回……いいえ、ここ2、3年は一度も家に帰ってこなかったくせに……」 その上帰ってきたら帰ってきたで、地下に籠もって研究するか、貴族仲間や王室への顔見せ……クロスは生まれてから今まで、父親とこんなに『長く』会話したことすらなかった。 家族になど一欠片も興味を示さない、彼が興味あるのは研究だけだ……デミウル・アイン・ハイオールドとはそう言う男なのである。 少なくともクロスはそう思っていた。 「まあそう言うな、暮らしに困ったことなどなかっただろう? お前は私のことを顔を見るのも嫌などほど嫌っているのだし、私が居ない方がお前も気楽で楽しく暮らせるだろう?」 「……まあ、確かにそうだけどね」 この男は親の責任は生活の面倒だけだと思っている。 その上、子供に好かれようと努力しようという気すら最初から無いのだ。 デミウルは不意に立ち上がると、右掌を長椅子の背に当てた。 「見るが良い、これが錬金術だ」 デミウルの右手袋の甲の赤い宝石が赤い閃光を放つ。 閃光が消えると、クロスの座っている長椅子は、『黄金』の長椅子に変わっていた。 「卑金属を希金属に変える、これができて初めて錬金術と言える」 「確かに凄いのは認めてあげるわよ……でも、だから何? 金を作れることがなんだって言うのよ!? そんなにお金が欲しいの!?」 こんな研究を完成させるために、この男は妻や子供を犠牲にしてきたというのか? いや、この男には犠牲にしたなどというつもりすらないのだろう、妻も子供も最初からどうでもいいのだから……。 「勘違いするな、金を作れるのは錬金術師としての最低条件だ。そんなものが我が目的なわけがなかろう」 「……じゃあ、錬金術師の目的って何なのよ……?」 「錬金術師でないお前に話しても解らぬよ」 「なあっ!? 話してみなきゃわからないじゃないのよ! あなたのそうやって勝手に決めつけるところ嫌いなのよ!」 「それよりも、コートの内ポケットを探ってみろ」 「ん……?」 クロスは怒った表情のまま言われたとおりにした。 コートの中から出てきたのは、甲に赤い宝石の埋め込まれた黒い手袋一式。 デミウルのしている手袋との違いは、指が外に出せる穴あき型の手袋ということだけだった。 「何よ、これ……」 「私からのお前への誕生日プレゼントだ」 「えっ……?」 あまりにも思いがけない言葉。 そういえば、最近はいろいろと問題が次々に起こったり、何より魔界なんて異世界に行っていたせいで日付感覚など完全に吹き飛んでいた。 「娘の誕生日を忘れる父親がいるか」 「今まで一度だって祝ってくれたことなんてなかったくせに何言ってるのよ……まあ、ちょっとだけ、ホントにちょっとだけだけど見直……」 「まあ、お前とここであったのは偶然だし、中央大陸に帰ってくる予定も本来なかったがな」 「しああっ!?」 前言……口に出しそうになった発言を撤回する。 「じゃあ、これだって別にあたしのために用意したものじゃないのね?」 「いや、それはお前の物だ。というか、お前にしか使い道がない設定になっている。埋め込んであるのは私のと同じ賢者の石だが、それは錬金術を行うための手袋じゃない。いわばお前専用の玩具の手袋だ」 「玩具?」 「ああ、親は子供に玩具をくれてやるものなのだろう、普通は?」 「……あのね、あたしはもう玩具なんて貰って喜ぶ歳じゃ……」 「お前の好きな格闘や魔術にとても役に立つぞ、それは」 「ありがとう、父様♪」 クロスは瞬時に極上の笑顔を浮かべた。 かと思うと、すぐにまた冷たく鋭い表情に戻り、 「はい、ちゃんとお礼言ってあげたからね! 返せて言っても、もう絶対に返さないからね!」 クロスはデミウルの視線から隠すように手袋を自分の懐にしまい込む。 「我が娘ながら現金というかなんというか……」 「どんな嫌いな奴からだって、それが価値ある物ならあたしは貰うわよ! 悪い!?」 「いや、つまらないプライドや美意識を持つより、その恥知らずなまでの強欲さは賞賛しよう」 「……あなた、誉めてないでしょう、本当は……?」 「……さて、ではそろそろ行くとするか」 デミウルはそう言うと、クロスにあっさりと背中を向けた。 「ち、ちょっと、まだ全然、現状を聞いてないんだけど……」 「ここはファントムの本拠地、現在、クリア勢力とファントム勢力が最終決戦中だ。タナトスもすでに来て戦っている……以上だ」 一息に言い切ると、デミウルは歩き出す。 「はい!? え? ええ、何? 姉様が来ている? てことは生き返ってるわけで……?」 「では、また会おう、愛する娘よ。今度はそう間を置かずに会うことになるだろう……ここで死ななければだがな……」 クロスが情報を整理……なんとか理解しようとしている間にも、デミウルはどんどん遠ざかっていった。 一言感想板 一言でいいので、良ければ感想お願いします。感想皆無だとこの調子で続けていいのか解らなくなりますので……。 |